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ラリアットとは?やり方・かけ方を5ステップで解説|スタン・ハンセンの代名詞「豪腕の一閃」の仕組みと名手
— 必殺技解説 —

ラリアットとは?やり方・かけ方を5ステップで解説|スタン・ハンセンの代名詞「豪腕の一閃」の仕組みと名手

USSIBLOG
📖 この記事の目次
  1. 📌 この記事でわかること
  2. 🧬 ラリアットの正体:腕一本に全体重を乗せる「一撃必殺」
  3. 🔥 ラリアットのやり方|5ステップで分解
  4. 💪 意外な事実:ラリアットは「腕力」ではなく「下半身」の技
  5. 🤕 ラリアットを食らったらどうなる?|受け手の視点
  6. 🐂 スタン・ハンセンとウエスタン・ラリアット
  7. ⚡ ラリアットの種類 早見表|見た目の違い×使い手×名勝負
  8. 📺 ラリアットの名場面を動画で観るには?
  9. 🏛️ ラリアットの歴史|「投げ縄」の名前はこうして生まれた
  10. 🔥 ラリアットの名場面・名手たち
  11. ❓ ラリアットに関するよくある質問
  12. 📚 出典・参考
  13. 🔗 関連記事
  14. 🐄 ウッシのひとこと:一点に、全部を乗せる

※本記事はプロモーションを含みます。

⚠️ 【重要・免責】本記事はプロレス観戦をより深く楽しむための「技術構造の解説」です。プロレス技は専門的な訓練を積んだプロレスラーのみが行う高度な格闘技です。一般の方が実際に他人に掛けると、頸部・頭部の重大な損傷につながります。絶対に真似しないでください

こんにちは、営業部長のウッシです。

「ラリアット」――この技を語るとき、プロレスファンの頭には必ずひとりの男の姿が浮かびます。スタン・ハンセン。カウベルを鳴らし、雄叫びを上げながら走り込み、丸太のような左腕を相手の首に叩き込む――あの「ウエスタン・ラリアット」こそ、一撃必殺という言葉がもっとも似合う打撃技です。

本記事では、ラリアットのやり方・かけ方の構造を、観戦理解の観点から5ステップで分解します。「ただ腕を振ってるだけ?」「なんであんなに効くの?」という疑問に、30年プロレスを観てきた部長の目線で答えます。

📌 ラリアットとは?(結論から先に)
ラリアットとは、走り込みながら太い腕を伸ばし、相手の首や胸を真横から薙ぎ払う一撃必殺の打撃技のこと。この1文で言い切れる、プロレスでもっともシンプルな技のひとつです。要点だけ先に押さえておきましょう。

効く理由=腕力ではなく「走るスピード×全体重」を腕一本に乗せるから
元祖=アメリカ流の「ウエスタン・ラリアット」で日本に広めたスタン・ハンセン。日本では長州力のリキ・ラリアット、現代はオカダ・カズチカのレインメーカーへと進化
名前の由来=英語の lariat=「投げ縄」。腕を縄のように薙ぐフォームから。海外では「クローズライン(clothesline=物干し綱)」と呼ばれる同系統の技
★★★★★ 打撃技
ラリアット
豪腕の一閃・一撃必殺の代名詞
👁 かけ方
走り込みながら太い腕を伸ばし、相手の首や胸を真横から薙ぎ払う打撃技。腕力だけでなく、走るスピードと全体重を腕一本に乗せて叩き込む。激突の瞬間に体を沈める下半身の柔軟性が衝撃を支える。当たれば相手は一回転して倒れる、プロレス屈指の"一撃必殺"フォーム。
⚔️ STATUS※プロレス30年・ウッシの独断評価
💥 破壊力 9
🔒 拘束力 1
🎯 決定力 9
🎓 習得難度 4
⚠️ 危険度 7
🎭 魅せ度 9
🥋 元祖・名手
ラリアットの代名詞といえばスタン・ハンセン。1970年代後半、新日本プロレスで「ウエスタン・ラリアット(西部式投げ縄打ち)」として披露して以降、日本中に広まり、ハンセンのフィニッシュ・ホールドとして定着した。ハンセン自身は「アメフト経験を活かしたオリジナル技で、激突の衝撃を吸収する強靭で柔軟な下半身が必要」と語っている。
📜 ひとくちメモ
ラリアット(lariat)は英語で"投げ縄"の意。腕を振り抜くフォームが投げ縄を放つ動きに似ることに由来する。腕力勝負の技に見えて、実は走り込みのスピードと下半身の使い方がカギ。対戦相手から「現役時代に食らって一番痛かった技」という証言も残る、まさに一撃必殺の象徴だ。

📌 この記事でわかること

  • ラリアットの正体と、一撃必殺になるしくみ
  • やり方・かけ方を5ステップで分解
  • 「腕力」ではなく「下半身」がカギという意外な事実
  • ラリアットの種類 早見表(見た目の違い×使い手×名勝負を一覧化)
  • スタン・ハンセンとウエスタン・ラリアットの関係
  • ハンセン→長州・小橋→オカダへと続く使い手の系譜
  • 食らったらどうなる?受け手の視点と受け身のリアル
  • ラリアットの歴史と「投げ縄」という名前の由来
  • 小橋建太・長州力ら、歴代の名手たち
  • わずか「6秒」で試合を終わらせた伝説の一戦(佐々木健介)
  • クローズラインとの違い・レインメーカーとの違いなどFAQ
  • 名場面を動画で観るには

🧬 ラリアットの正体:腕一本に全体重を乗せる「一撃必殺」

ラリアットは、英語のlariat(投げ縄)が語源。腕を大きく振り抜くフォームが、カウボーイが投げ縄を放つ動きに似ていることから名づけられたと言われます。

項目内容
英語名Lariat
分類打撃技(腕の薙ぎ払い系)
当てる場所相手の首・胸
体勢走り込みながら腕を伸ばす
語源lariat(投げ縄)

ラリアットの本質は、「走るスピード」×「全体重」×「太い腕」の掛け算です。ただ腕を振るだけなら大したことはありません。そこに走り込みの勢いと体重がすべて乗るからこそ、当たった相手が一回転して倒れる衝撃が生まれるんです。

そしてこの技、ある試合ではたった「6秒」で勝負を終わらせたことがあります。受け手が卒倒し、レフェリーが試合を止めるまで、わずか6秒——。その伝説の一戦は記事の後半でじっくり紹介するとして、まずは”一撃必殺”の正体から見ていきましょう。

🔥 ラリアットのやり方|5ステップで分解

試合で見るラリアットを、5ステップに分けて解説します。

Step 1:ロープの反動で走り込む

多くの場合、ラリアットはロープに振られた反動を利用して走り込むところから始まります。この助走でスピードを最大化します。

Step 2:腕を真横に伸ばして構える

走りながら、打つ側の腕を真横、あるいはやや前方に伸ばします。肘を曲げず、腕全体を硬い棒のようにして相手に向けます。

Step 3:相手の首・胸の高さに照準を合わせる

腕を振り抜く高さを、相手の首から胸のラインに合わせます。高さがずれると衝撃が逃げるため、この照準が決定力を左右します。

Step 4:全体重を腕に乗せて薙ぎ払う

走り込みの勢いと体重をすべて腕に乗せ、相手を真横から薙ぎ払う。この瞬間、走るエネルギーが腕一本に集約されます。

Step 5:激突の衝撃を下半身で支える

当たった瞬間、自分の下半身を沈めて衝撃を吸収します。ハンセン自身が「激突時の衝撃を吸収する柔軟かつ強靭な下半身が必要」と語ったとおり、ここがラリアットの隠れた核心。腕力だけの技ではないんです。

💪 意外な事実:ラリアットは「腕力」ではなく「下半身」の技

ラリアットは見た目こそ”豪腕の一撃”ですが、実は下半身がすべてを支える技です。

ポイント①:衝撃を逃がさない下半身

激突の瞬間、自分にも大きな反動が返ってきます。これを膝と腰の柔軟性で吸収しないと、打った自分が崩れてしまう。だからこそ強靭で柔軟な下半身が要るんです。

ポイント②:走り込みのスピードが破壊力

腕の太さ以上に、走り込みのスピードが衝撃を決めます。止まった状態で腕を振っても、ラリアット本来の破壊力は出ません。

⚠️ 再掲・免責:これらの構造解説は、観戦時の理解を目的としたものです。技を実際に他人にかけることは、解剖学的に極めて危険であり、絶対に行わないでください。

🤕 ラリアットを食らったらどうなる?|受け手の視点

打つ側ばかり語られがちですが、ラリアットの凄みは「受ける側」に回るとよく分かります。ここは観戦の解像度が一気に上がるポイントです。

首・胸に走り込みの全体重が真横から入るため、当たった瞬間、受け手は体が一回転して背中から落ちることがあります。冒頭で触れた佐々木健介の一撃のように、体重の軽い相手はその場でくるりと回ってしまうほど。対戦相手からは「目の前に星が飛んだ」「食らって一番痛かった技」という証言が数多く残っています。四天王プロレスの川田利明は、ハンセンのラリアットで失神してセコンドに支えられて控室に戻ったこと、別の機会には歯が折れたことまで明かしているほどです。

なぜ選手は受け身を取れるのか

「あれだけの一撃を毎試合もらって、なぜ壊れないのか?」——観ていて誰もが抱く疑問です。答えは、受け手も訓練を積んだプロだから。当たる瞬間にわずかに合わせて自分から回転し、背中全体で衝撃を分散する受け身を取ります。首の一点で受けきるのではなく、体全体を使って”逃がす”わけです。それでも危険度が高い技であることに変わりはなく、だからこそプロだけが成立させられる領域にあります。

より痛烈な受けの一覧はプロレスが痛い技ランキングでも紹介しています。

⚠️ 再掲・免責:受け身も含めて高度な専門技術です。一般の方が真似することは絶対にやめてください。

🐂 スタン・ハンセンとウエスタン・ラリアット

ラリアットを語るうえで、スタン・ハンセンの存在は外せません。

ハンセンは1970年代後半、新日本プロレスで「ウエスタン・ラリアット(西部式投げ縄打ち)」としてこの技を披露しました。それ以降、ラリアットは日本中に広まり、やがてハンセンの代名詞的フィニッシュ・ホールドとして定着します。テキサス出身、カウボーイハットにカウベル、ブルロープを振り回しながら入場するそのスタイルとあいまって、ハンセンは日本でスーパースターの地位を築きました。

ハンセン自身は「ラリアットは自身のアメリカンフットボール経験を活かしたオリジナル技であり、激突時の衝撃を吸収する柔軟かつ強靭な下半身が必要」と語っています。実際に対戦したレスラーからは「冗談抜きに目の前に星が飛んだ」「現役時代に食らって一番痛かった技」といった証言が数多く残っています。四天王プロレスの川田利明にいたっては、ハンセンのラリアットで失神し、セコンドに支えられてようやく控室に戻ったこと、別の機会には歯が折れたことまで明かしているほど。その破壊力は折り紙付きで、まさに”一撃必殺”を体現した男でした。

スタン・ハンセンの全盛期と”不沈艦”の異名については、【黒船列伝②】スタン・ハンセンの記事で詳しく書いています。

⚡ ラリアットの種類 早見表|見た目の違い×使い手×名勝負

ひとくちにラリアットと言っても、間合い・入り方・当て方でいくつもの種類に枝分かれしています。「あの選手のラリアット、他と何が違うの?」を一目で掴めるよう、代表的な型を早見表にまとめました。

種類見た目の違い代表的な使い手メモ・名勝負
ウエスタン・ラリアット(走り込み式)ロープの反動から突進し、太い左腕で首を薙ぐスタン・ハンセン日本にラリアットを広めた原点
リキ・ラリアットロープの反動を活かした叩きつけ式長州力1982年に確立と伝わる代名詞技
ショートレンジ/居合抜き式至近距離・棒立ちの相手へ腕の振りだけで小橋建太・潮崎豪助走なしで沈める上半身の強さ
ジャンピング・ラリアット跳び上がって高さを加えるジ・アンダーテイカー ほか長身の相手にも当てやすい
串刺し式コーナーに詰めた相手へ突進して叩きつけ真壁刀義・EVIL ほか逃げ場がなくダメージが大きい
ローリング・ラリアットその場で体を1回転し、遠心力で首を打つ回転式の変種スピードに遠心力を上乗せ
レインメーカー手首を掴んで引き寄せ、回転しながら短い一閃オカダ・カズチカ令和の象徴。手首固めで逃げ場を消す
クローズライン・フロム・ヘル走り込み式(米式クローズライン+ラリアット)JBLハンセンに憧れた米流の豪腕

※分類・名称は資料により表記が分かれる場合があります。ここでは観戦時に見分けやすい代表的な型を整理しました。

以下、特に押さえておきたい型を補足します。

ショートレンジ/居合抜き式ラリアット

至近距離、あるいは棒立ちの相手に、助走をほぼ使わず腕の振りだけで叩き込むタイプ。刀を鞘から抜くような一閃から「居合抜き式」とも呼ばれます。走り込みで距離を作れないぶん、上半身と体重移動だけで衝撃を生む必要があり、腕っぷしの強い選手ほど映える型です。小橋建太はこの型を含め、走り込み式・カウンター式まで引き出しが豊富なことで知られました。

串刺し式ラリアット

コーナーに詰めた相手へ、助走をつけて突進しながら叩きつける型。相手はコーナーポストに背中を預けているため衝撃を後ろへ逃がせず、ダメージが大きくなります。真壁刀義やEVILら、パワー型の選手が試合の流れを作る一手として多用します。

リキ・ラリアット(長州力)

長州力の代名詞がこのリキ・ラリアット。面白いのはその出自で、長州はもともと、ハンセンのラリアットを何度も浴びて沈められていたといいます。やられ続けた技の威力を、今度は自分の必殺技として体に叩き込んだ——やられた技を奪い返す、というプロレスらしいドラマがこの技には宿っているんです。ロープへの走り込みと反動を活かした叩きつけ式で、革命戦士の突進力とかみ合った一撃でした。長州の生き様そのものは長州力の記事で詳しく書いています。

レインメーカー(オカダ・カズチカ)

現代ラリアットの到達点が、オカダ・カズチカのレインメーカー。相手の手首を掴んで引き寄せ、その勢いで体を回転させながら短い距離のラリアットを首筋へ叩き込みます。手首を握ったまま放つので逃げ場がなく、回転の遠心力まで乗る——走り込み式とは真逆の発想で組み立てられた”進化系ラリアット”です。仕組みはレインメーカーのやり方で5ステップに分解しています。

クローズライン・フロム・ヘル(JBL)

海外にも豪腕の使い手はいます。WWEのJBL(ジョン・ブラッドショー・レイフィールド)のクローズライン・フロム・ヘルは、スタン・ハンセンに憧れて磨いた走り込み式の必殺技。アメリカ式の「倒す」クローズラインに、ハンセンの「殴る」ラリアットの要素を組み合わせたと語られており、ハンセンの影響が国境を越えて残っていることがよく分かる技です。

🥋 この技が好きなら、次はコレ
延髄斬り──首を狙う一撃必殺の蹴り
ドロップキック──空中からの王道打撃
プロレス技 一覧【図解】──全8ジャンルの技をまとめて見る

📺 ラリアットの名場面を動画で観るには?

📺 公式「技図鑑」ラリアット(小島聡)(新日本プロレス公式)

文章だけで、走り込みのスピードや激突の瞬間の衝撃を理解するのは難しい技です。実際の試合映像で動きを観るのが最短ルート

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🏛️ ラリアットの歴史|「投げ縄」の名前はこうして生まれた

ラリアットという技が、いつ・どうやって生まれ、日本に定着したのか。ここを知っておくと、観戦の解像度がぐっと上がります。

アメリカでは「クローズライン」と呼ばれていた

ラリアットと同じ系統の技は、もともとアメリカでは 「クローズライン(clothesline)」 と呼ばれていました。直訳すると「物干し綱」。走ってきた相手が、ピンと張った物干し綱に首を引っかけて引っくり返る――そんな見た目から付いた呼び名だとされます。腕を物干し綱に見立てた、なんともユーモラスなネーミングですね。

呼び名主な使用地域語源
クローズライン(clothesline)アメリカ物干し綱
ラリアット(lariat)日本投げ縄(カウボーイ用語)

つまり「ラリアット」と「クローズライン」は、もとは同じ技を別の言葉で呼んでいるだけ、というわけです。

アメフトの「ハイタックル」が原点

この技を日本で一気に有名にしたのが スタン・ハンセン ですが、ハンセン本人はラリアットを「自身のアメリカンフットボール経験を活かしたオリジナル技」と語っています。アメフトでは反則とされるハイタックル(高い位置への突進タックル)の動きをヒントに編み出された、というのが定説です。

ハンセンはウエスト・テキサス州立大学のアメフト部出身。あの突進力と、激突しても自分が崩れない強靭な下半身は、まさにアメフトで鍛えられたものだったんですね。「腕の技」に見えて根っこは「タックルの技」――これがラリアットの面白いところです。

「ウエスタン・ラリアット」という名前を付けたのは実況アナ

実は 「ウエスタン・ラリアット」というネーミング自体は、ハンセンが付けたものではないとされています。

名付け親は、ハンセンが新日本プロレスに参戦していた当時、テレビ中継「ワールドプロレスリング」の実況を担当していた舟橋慶一アナウンサーだと言われています。舟橋アナが、カウボーイハットにブルロープ(牛追い縄)という”西部劇そのもの”のハンセンのスタイルから、「ウエスタン(西部式)」を冠して「ウエスタン・ラリアット」と呼んだ――そう伝えられています。

技そのものの破壊力に加え、実況の言葉のセンスが技を”伝説”に押し上げた好例と言えるでしょう。プロレスが「言葉とセットの文化」だということが、よくわかるエピソードです。

🔥 ラリアットの名場面・名手たち

ラリアットは多くのレスラーが必殺技にしてきました。ここでは、特に印象に残る名手を紹介します。

まずは”使い手の系譜”をざっくり

細かい名場面に入る前に、ラリアットがどう受け継がれてきたかを一本の線でつかんでおきましょう。

① 原点:スタン・ハンセンが1970年代後半、新日本で「ウエスタン・ラリアット」を披露 → 日本中へ拡散
② 日本での発展:長州力が反動を活かした「リキ・ラリアット」で確立。小橋建太は"剛腕"と呼ばれる完成度で居合抜き式まで昇華
③ 秒殺の証明:佐々木健介が顔面ラリアットで史上最速級の決着を叩き出す
④ 現代への進化:オカダ・カズチカが手首固めから放つ「レインメーカー」で、走り込み式とは別ベクトルの到達点へ

こうして並べると、半世紀近くかけて「殴る」から「掴んで回す」へと技が進化してきたのが見えてきます。それでは一人ずつ。

元祖にして頂点|スタン・ハンセン

なんと言っても スタン・ハンセン。前傾姿勢で突進し、左腕を振り抜いて相手の首を刈り倒すそのフォームは、まさに一撃必殺の代名詞でした。

ハンセンのラリアットは、通常の「腕を振り抜く」タイプとは少し違い、三角筋(肩)でかち上げるように当てるのが特徴だったとも言われます。これもアメフト仕込みの体の使い方でしょう。

ちなみに1984年には、左腕を負傷していたハンセンが、意表を突いて”右腕ラリアット”を初公開し逆転勝利したという一幕もありました。左右どちらでも一撃で沈められる――それだけ技が体に染み込んでいた証拠です。

ハンセンの全盛期と”不沈艦”の異名については、【黒船列伝②】スタン・ハンセンの記事で詳しく書いています。

受けて受けて振り抜く|小橋建太

日本人レスラーでラリアットの名手といえば、小橋建太を挙げる人は多いはずです。小細工をせず、相手の技を真っ向から受け切り、最後にチョップとラリアットで試合を締める――そんな”剛”のスタイルで知られた名選手です。

興味深いのは、ハンセン本人が小橋にラリアットの極意を伝えていたとされること。元祖から直接受け継いだ技、というドラマがそこにあります。

さらに、三沢光晴は生前、「ラリアットを最後までしっかり腕を振り抜けているのは、ハンセンと小橋だけ」という趣旨の評価を残していたと伝えられています。同時代のトップ選手からの言葉だけに、小橋のラリアットの完成度がうかがえます。

小橋建太の生き様は小橋建太(闘魂列伝)で、“剛腕”という言葉の本当の意味は剛腕とは?小橋建太に学ぶ折れない腕力で掘り下げています。

わずか6秒の伝説|佐々木健介

ラリアットの”一撃必殺”を、これ以上なく証明してしまった試合があります。

2000年12月10日、新日本プロレス(愛知県体育館)。佐々木健介 対 小原道由のシングルマッチ。試合開始のゴングが鳴った瞬間、突進してきた小原を、健介の顔面へのラリアット一発が真正面から迎え撃ちました。小原はそのまま卒倒。試合時間、わずか6秒——当時の最速決着記録です。

しかも、この話には続きがあります。17年後の2017年、テレビ番組『オールスター感謝祭2017秋』がこの試合をあらためて再計測したところ、実際は「5秒47」だったことが判明。“6秒殺”は、さらに速かったわけです。『水曜日のダウンタウン』でも「プロレス界きっての秒殺」として取り上げられた、いまだ語り草の一戦です。

健介のラリアットは「太い腕を横一直線に叩きつけ、体重の軽い相手はその場で一回転してしまう」とまで言われた剛腕。たった1発、6秒。ラリアットという技の凄みを、これほど雄弁に物語る試合はありません。

佐々木健介の全盛期は佐々木健介(闘魂列伝)で、レインメーカーで令和のラリアットを塗り替えたオカダはオカダ・カズチカ(闘魂列伝)で詳しく書いています。

2000年代を支えた使い手たち

2000年代になると、強靭な上半身を武器にする選手たちがこぞってラリアットをフィニッシュ・ホールドにしました。代表的なところでは、佐々木健介・小島聡・高岩竜一・潮崎豪といった面々です。

中でも小島聡は「ラリアットの選手」としてのイメージが強く、力強い振り抜きで多くの相手を沈めてきました。世代を超えて受け継がれ、それぞれの個性で進化していく――ラリアットがプロレスの定番技であり続ける理由が、ここにあります。

⚠️ 上記の試合・エピソードはいずれも観戦理解のための紹介です。技の真似は絶対にしないでください。

❓ ラリアットに関するよくある質問

Q1. ラリアットは素人でも真似できますか?

A. 絶対に真似しないでください。本記事は観戦理解のための技術解説です。ラリアットは首や胸に強い衝撃を与える技で、訓練を受けていない人が他人にかけると、頸部・頭部の重大な怪我につながります。

Q2. ラリアットとクローズラインの違いは何ですか?

A. 基本的に同じ系統の技で、違いは呼び名と地域です。海外では「クローズライン(clothesline=物干し綱)」と呼ばれることが多く、日本ではハンセンの「ウエスタン・ラリアット」をきっかけに「ラリアット」の呼び名が広まりました。厳密には、アメリカ式クローズラインは相手を「倒す」ニュアンス、ハンセン流ラリアットは「殴り飛ばす」ニュアンスとされ、JBLの「クローズライン・フロム・ヘル」はその両方を組み合わせた技だと語られています。

Q3. なぜラリアットはあんなに効くんですか?

A. 走り込みのスピードと全体重が、腕一本に集約されるからです。さらに当てる高さを首・胸に合わせることで衝撃が逃げにくくなり、一撃必殺の破壊力が生まれます。

Q4. ラリアットは腕力があれば誰でも打てますか?

A. いいえ。ハンセン本人が語ったとおり、激突の衝撃を吸収する柔軟で強靭な下半身がなければ、打った自分が崩れてしまいます。腕力以上に下半身の使い方が重要な技です。

Q5. ラリアットを最初に日本に広めたのは誰ですか?

A. スタン・ハンセンです。1970年代後半、新日本プロレスで「ウエスタン・ラリアット」として披露し、これをきっかけに日本中へ広まりました。以後、ラリアットはハンセンの代名詞となりました。

Q6. ラリアットとレインメーカーの違いは何ですか?

A. 入り方が正反対です。従来のラリアットはロープの反動から走り込んで放つのに対し、オカダ・カズチカのレインメーカーは相手の手首を掴んで引き寄せ、体を回転させながら短い距離で叩き込みます。手首を握るため相手が逃げられず、回転の遠心力も乗る——ラリアットを「掴んで回す」方向に進化させた変型と位置づけられます。

Q7. ローリング・ラリアットとは何ですか?

A. 相手と向かい合った状態からその場で体を1回転させ、遠心力を利用して首を薙ぐタイプのラリアットです。走り込みのスピードの代わりに回転の勢いを使うのが特徴で、狭い間合いからでも威力を出せます。

Q8. なぜラリアットを食らっても腕(受け手)が壊れないんですか?

A. 受け手も訓練を積んだプロだからです。当たる瞬間にわずかに合わせて自分から回転し、背中全体で衝撃を分散する受け身を取ります。首の一点で受けきるのではなく、体全体で”逃がす”わけです。ただし危険度が高い技であることに変わりはなく、プロだけが成立させられる領域にあります。一般の方は絶対に真似しないでください。

📚 出典・参考

本記事のエピソード・人物情報は、各種公開資料・報道に基づきます(試合時間・年月は各資料の記載に準じます。確認日:2026年7月9日)。

※試合時間・記録・技の分類は、番組・資料により表記が異なる場合があります。

🔗 関連記事

⚠️ 再々掲・免責:本記事はあくまで観戦理解・技術構造の解説目的です。プロレス技を一般の方が他人にかけることは、極めて危険な行為であり、絶対に真似しないでください。

🐄 ウッシのひとこと:一点に、全部を乗せる

ラリアットの凄みは、「走るスピード・体重・腕力、その全部を一点に乗せる」ところにあります。器用にあれこれやる技ではない。むしろ究極にシンプル。だからこそ強い。

仕事でも、これは効くんですよ。あれもこれもと手を広げると、結局どれも中途半端になる。でも、「今日はこの一件に全部を乗せる」と決めて全リソースを一点に集中させると、相手にちゃんと響く提案ができる。器用貧乏より、一撃必殺。ハンセンのラリアットは、その潔さを教えてくれます。

技のフォームを知ると、プロレス観戦は確実に面白くなります。それではまた次のプロレス記事でお会いしましょう。

営業部長のウッシでした。