アナコンダバイスとは?やり方・返し方|天山広吉さんの技
※本記事はプロモーションを含みます。
こんにちは、営業部長のウッシです。
アナコンダバイス――試合中継で解説者がこの技名を叫ぶと、リングでは相手選手が腕を変な形にたたまれたまま、うつ伏せで身動きが取れなくなっています。首を絞められているようにも、腕を折られているようにも見える。「結局これ、どこが極まってるの?」と思ったことのある人は、たぶん多いはずです。
答えを先に書きます。極まっているのは腕(肘と肩)と首の両方です。そして技の本体は、見た目に反して絞め技ではなく関節技。相手の腕を逆V字に折る「V1アームロック」と、上半身を抱え込む「袈裟固め」というまったく別ジャンルの2つの技を、1つの形に合体させた複合サブミッション――それがアナコンダバイスの正体です。
考えたのは天山広吉さん。2003年、カナダ・カルガリーでの海外遠征中に生み出し、その年のG1 CLIMAX決勝でいきなり解禁して秋山準選手からギブアップを奪い、悲願のG1初優勝を決めました。以来23年、天山さんの代名詞であり続けた技です。
天山広吉さんが2003年に開発した複合サブミッションです。相手の腕を「V1アームロック」で逆V字に折り極めつつ、上半身を「袈裟固め」で抱え込み、肘・肩関節と首を同時に締め上げるのが本質。名前は獲物に巻きつく大蛇「アナコンダ」と、ガッチリ締める「万力(vise)」に由来し、命名者は天山さんの恩師・大剛鉄之助さんです。米国ではCMパンク選手もアレンジ版を看板技にしました。分類は関節技でありながら絞めの効果も併せ持つのが特徴で、よく似たコブラクラッチとは別物です。
⚠️ 【重要・免責】本記事はプロレス観戦をより深く楽しむための「技術構造の解説」です。プロレス技は専門的な訓練を積んだプロレスラーのみが行う高度な格闘技です。一般の方が実際に他人に掛けると、肘関節・肩関節・頸椎の重大な損傷や死亡事故につながります。絶対に真似しないでください。
⏱ 30秒で片づく|アナコンダバイスの疑問5つに即答
長い記事を読む前に、検索してきた人がまず知りたいところだけ先に潰しておきます。
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 何の技? | V1アームロック+袈裟固めの複合サブミッション。関節技に分類されるが、首への圧迫もかかる |
| どこが極まる? | 肘・肩・首の三重。「腕か首か」ではなく両方が同時に極まるのがこの技の設計 |
| 誰の技? | 天山広吉さん(新日本プロレス)が2003年に開発。米国ではCMパンク選手が広めた |
| コブラクラッチとの違いは? | 別物。コブラクラッチは首側のグリップが主役の絞め技、アナコンダバイスは腕を逆V字に折る関節技。混同されるのは変型「アナコンダマックス」がコブラクラッチ型だから |
| 外せるの? | 両手のクラッチが組まれる前なら外せる。組まれた後はほぼ無理。完成後の現実的な脱出はロープエスケープか味方のカット |
| 読み方・英語表記は? | アナコンダバイス/Anaconda Vise。「vise」は万力のこと(英国式綴りでは vice) |
アナコンダバイスは「首を絞める技に見えて、実は腕を折る技」です。相手の腕を逆V字(∧)にたたみ、その隙間に自分の腕を通して両手を組む。この"Vの隙間に腕を通す"という一手だけが、この技を他のどんな技とも違うものにしています。中継で「クラッチした!」と聞こえたら、そこが勝負の分かれ目です。
🎪 この技の集大成は、2026年8月15日の両国で幕を閉じました。天山さんが歩んだ35年は天山広吉さん、ありがとうございましたに、引退試合当日の記録は8.15両国 引退試合まとめに。過去の名勝負を映像で追う方法はプロレス配信サービス比較へ。
📌 この記事でわかること
- アナコンダバイスの正体──「絞め技に見えて関節技」である理由
- 極まるのは腕か首か問題への答え(肘・肩・首の三重攻撃のしくみ)
- コブラクラッチとの違い、そして混同が生まれた本当の原因
- 外せるのか──クラッチ完成の前と後で変わる、脱出の現実
- やり方を5ステップで分解(SVG図解つき)
- 変型4種(マックス/クロス/バスター/スラム)の整理表
- 天山さんの引退後、この技を誰が受け継いでいるのか
🧬 アナコンダバイスの正体:V1アームロック+袈裟固めの複合技
まず大前提として、アナコンダバイスの構造は「V1アームロック」と「袈裟固め」を一体化させた複合サブミッションです。
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| V1アームロック | 相手の腕を逆V字(∧)に折りたたみ、肘・肩関節を極める |
| 袈裟固め | 上半身を斜めに固定し、首・上半身全体を圧迫する |
このふたつが同時にかかることで、相手は「肩関節 + 肘関節 + 頸部の圧迫」という三重攻撃を受けます。
💡 誤解されやすい点:一部の解説で「V1アームロック+コブラクラッチ」と書かれていますが、これは派生技「アナコンダマックス」系のフォームで、本家アナコンダバイスとは別物です(後述)。
🥋 アナコンダバイスの主な使い手
「アナコンダバイスって誰の技?」に一発で答えられる、代表的な使い手がこちら。
| 使い手 | 位置づけ |
|---|---|
| 天山広吉さん(新日本プロレス) | 開発者・本家。2003年G1 CLIMAX決勝で初披露し、自身の代名詞に |
| CMパンク選手(WWEほか) | 米国でアレンジ版をフィニッシュホールドとして使用し、世界的に有名にした |
| マイケル・ベネット選手 | 「ゴー・バック・トゥー・ジャパン」という技名で使用 |
| YOH選手(新日本プロレス) | 現役の継承者。2026年のBEST OF THE SUPER Jr.準決勝でもアナコンダバイスでギブアップを奪っており、天山さんの引退後もこの技は新日本のリングで生き続ける |
海外の使い手が技名を変えてまで使うあたりに、「日本発の技」としての存在感がにじみます。V1アームロック自体は柔道の腕緘(うでがらみ)にも通じる古典的な関節技で、そこに袈裟固めを組み合わせて”プロレスの必殺技”へ昇華させたのが天山さんのオリジナリティです。
天山さんは2026年8月15日に引退しましたが、アナコンダバイスという技そのものは終わっていません。YOH選手が現役のフィニッシュとして使い続けている以上、これからも新日本のリングで「アナコンダバイス!」というコールは聞けます。技の名前だけが選手より長生きする――プロレスの技が「文化」だと言われるのは、こういうところです。天山さんが遺した技の全体像は天山広吉さんの技一覧・必殺技に一覧で整理しました。
🔥 アナコンダバイスのやり方|5ステップで分解
ここからが「アナコンダバイス やり方」で来てくださった方向けの本編です。天山さんが試合で見せるフォームを、5ステップに分けて解説します。
Step 1:仰向けの相手の片腕を取る
倒れている(または倒した)相手の片方の手首を掴むのが起点。立位ではなく、相手がマットに横たわった状態から入るのが原則です。
Step 2:取った腕を相手の頭の後ろに回し、逆V字に折る
掴んだ手を相手の頭の後ろ側へ回し、肘を支点に「∧」の形にたたみます。この時点で相手の肘関節には軽くテンションがかかります。
Step 3:自分のもう片方の腕を「∧」の中にくぐらせる
これがアナコンダバイス最大の特徴。逆V字に折られた相手の腕の「内側」に、自分の反対の腕を通す。「Vの隙間」を通すイメージです。
Step 4:両手をクラッチ(組み合わせ)してロック
通した腕の先で、自分の両手をしっかり組み合わせる。手のクラッチがアナコンダバイスのフォーム完成のサイン。これで腕を抜くことが物理的にほぼ不可能になります。
Step 5:体を反らせながら相手を引きつける
ロックしたら、自分の体全体を反らせる方向にテンションをかける。これにより:
- 相手の肘関節が逆方向に極まる
- 相手の肩関節が外旋方向に絞られる
- 相手の頸部が自分の体と袈裟固め部分で圧迫される
この三重攻撃が同時発動するのが、アナコンダバイスの本質です。
💥 痛みが極まる「2つの急所」
アナコンダバイスが「逃げ場のないサブミッション」と評される理由は、フォームに2つの急所が組み込まれているから。
急所①:肘関節の「逆ロック」
V1アームロックの構造により、相手の肘は普段曲がらない方向に折られます。プロレスラーでも数秒以上耐えると損傷リスクが上がるため、現実の試合では素早くタップするのが鉄則。
急所②:頸部への袈裟固め圧迫
袈裟固めパートが頸動脈付近を斜めに圧迫するため、関節技でありながら「絞め技的な意識喪失」も誘発します。「絞めなのか関節なのか分からない」と言われるのはこのため。
⚠️ 再掲・免責:これらの構造解説は、観戦時の理解を目的としたものです。技を実際に他人にかけることは、解剖学的に極めて危険であり、絶対に行わないでください。
🛡️ アナコンダバイスは外せるのか|返し方・防ぎ方の現実
先に結論を書きます。両手のクラッチが組まれる前なら外せます。組まれた後は、自力ではほぼ外せません。
理由は単純で、この技は「腕を通す」までが仕事で、「クラッチする」ことで鍵がかかる構造だからです。鍵がかかってしまえば、腕を引き抜こうとする力はそのまま肘へのテンションに変わる。もがくほど極まるという、関節技の典型的な性質を持っています。
構造から整理すると、脱出ルートは大きく3つに絞られます。
| タイミング | 脱出ルート | 見どころ |
|---|---|---|
| クラッチ完成前 | 掴まれた手首を引き抜く/相手の腕を「∧」に通させない | 完成前の数秒が最大の攻防。ここで腕を差し合う細かい動きに注目 |
| 完成後(ロープが近い) | 脚や体をロープにかけるロープエスケープ | 掛けられた側は首を固定され視界が悪い。脚を必死に伸ばす動きは”ロープを探している”サイン |
| 完成後(ロープが遠い) | 体格・腕力で相手ごと持ち上げる、味方のカット(タッグ戦) | ここまで来るとほぼ絶望的。だからこそフィニッシュとして説得力がある |
ポイントは、両手のクラッチが組まれた瞬間に勝負がほぼ決まること。だからプロの試合では、掛ける側は一気にクラッチまで持ち込もうとし、受ける側は腕を伸ばして差させまいと抵抗する──技が完成する前の攻防こそが、この技のいちばんの見どころです。
同じ「完成したら終わり」型の技として、絞め技の王道スリーパーホールドや、腕一本を破壊する腕ひしぎ十字固めと見比べると、アナコンダバイスの「腕+首の同時攻撃」という欲張りな設計がよく分かります。
⚠️ コブラクラッチとの違い|混同が生まれた本当の原因
「アナコンダバイス」と検索した人がいちばん多く抱えている疑問が、たぶんこれです。コブラクラッチと何が違うのか。
答えは「主役が首か、腕か」の一点です。
| 比較項目 | アナコンダバイス | コブラクラッチ |
|---|---|---|
| 技の主役 | 腕(肘・肩)を逆V字に折る | 首を腕でグリップする |
| 分類 | 関節技(首への圧迫も伴う) | 絞め技 |
| 体勢 | 寝技。倒れた相手に密着して極める | 基本は立ち技。相手の背後から捕らえる |
| キモの一手 | 逆V字の隙間に自分の腕を通してクラッチ | 相手の腕を首に回させ、自分の腕でロック |
| ギブアップの理由 | 肘が逆に折れる痛み | 首・呼吸への圧迫 |
見た目が似ているのは、どちらも「相手の腕と自分の腕が複雑に絡み合っている」から。ただし絡ませる目的が正反対で、アナコンダバイスは腕を壊すために首を使い、コブラクラッチは首を絞めるために腕を使います。
なぜ「アナコンダバイス=コブラクラッチ」と書かれてしまうのか
ネット上で「アナコンダバイス=V1アームロック+コブラクラッチ」と紹介される記述を、ときどき見かけます。これは間違いなのですが、間違えるだけの理由がちゃんとあります。
原因は、天山さん自身が作った変型「アナコンダマックス」です。この派生技のほうは、本当にコブラクラッチで捕らえてから倒し込む形をしている。つまり「アナコンダ」シリーズの中に本当にコブラクラッチ型が存在するので、シリーズ全体の説明としてそれが混ざってしまうわけです。
| 技名 | 正しい構造 |
|---|---|
| アナコンダバイス(本家) | V1アームロック + 袈裟固め |
| アナコンダマックス(変型) | コブラクラッチで捕らえて倒し込み、頸部を圧迫する発展形 |
| アナコンダバスター(変型) | 腕を極めたまま持ち上げて、マットに叩きつける投げへの変化 |
なお、コブラクラッチとコブラツイストもまた別の技です。コブラツイスト(アバラ固め)は脚を絡めて上半身をひねり上げるアントニオ猪木さんの愛用技で、首をグリップするコブラクラッチとは形が違います。この3つの「コブラ」と「アナコンダ」の関係を整理できていると、中継の実況が一段深く聞こえてきます──コブラツイストの掛け方の図解もあわせてどうぞ。
📺 動画で観る(公式)
📺 天山直伝!TTD&アナコンダバイス習得への道(新日本プロレス公式)
🌎 CMパンク式アナコンダバイスとの違い
CMパンク選手がWWEで使っているアナコンダ・バイスは、天山さんの本家フォームをアメリカ流にアレンジしたものです。
| 比較項目 | 天山広吉さん(本家) | CMパンク選手(WWE版) |
|---|---|---|
| 基本フォーム | V1アームロック + 袈裟固め | 似たフォームだがスライド寄り |
| 入り方 | 仰向け相手から | 立位からの組み合いで誘導 |
| 演出 | 関節技の「重さ」を見せる | ショーマンシップで盛り上げる |
どちらも「逆V字にした腕を抜けない」原理は同じ。天山さん版は技術重視、CMパンク選手版はエンタメ重視――そう覚えると見分けやすいです。
余談ですが、日本の中堅レスラーが作った技を、アメリカのメインイベンターが技名ごと引き継いで世界中に見せる。これって、地方の代理店営業だった自分からすると相当グッとくる話です。技に国境がないのは、プロレスのいいところだと思います。
🌪️ 変型4種の整理表|マックス・クロス・バスター・スラム
天山広吉さんは本家アナコンダバイスを起点に、「アナコンダ」シリーズとも呼べる変型群を生み出しています。まとめて整理すると次のとおり。
| 変型 | タイプ | 構造のポイント |
|---|---|---|
| アナコンダマックス | 締め | コブラクラッチで捕らえた相手を仰向けに倒し込み、体重を後ろにかけて頸部を圧迫する発展形 |
| アナコンダクロス | 締め | 相手の腕を首に巻きつけるように、自分の腕を交差(クロス)させながら極める変型 |
| アナコンダバスター | 投げ | 極められた相手が立ち上がろうとした瞬間、腕を極めたまま持ち上げて後頭部〜背中からマットに叩きつける |
| アナコンダスラム | 投げ→締め | 相手を抱え上げて叩きつけ、そのままアナコンダバイスへ移行するコンボ型 |
変型が生まれた理由を推理する
注目したいのは、「締め」だけでなく「投げ」への変化形があること。
- 本家を警戒して立ち上がろうとする相手には → バスターで叩きつける
- 腕を差させまいとガードする相手には → マックス/クロスで首側から捕らえる
- 投げで弱らせてから極めたいときは → スラムで叩きつけてから本家へ
つまり変型群は、前の章で解説した「返し方・防ぎ方」への回答になっているんです。相手の脱出ルートを一つずつ潰していく――技の進化そのものが攻防の歴史、というわけです。
▶ TTD──天山さんのもう一つの必殺技。封印と改良の歴史
▶ マウンテンボム──アナコンダバイス以前のフィニッシャー
▶ 卍固め──足も使う、猪木さんの変型締め
▶ プロレス関節技 一覧【図解つき】──全13技を部位別・痛い順に
▶ プロレス技 一覧【図解】──全8ジャンルの技をまとめて見る
📺 アナコンダバイスのやり方を動画で観るには?
文章だけでフォームを完全に理解するのは難しい技です。実際の試合映像で動きを観るのが最短ルート。
天山さんのアナコンダバイス収録試合(2003年G1 CLIMAX決勝・対秋山準選手戦ほか)は、NJPW WORLD(新日本プロレスワールド)でアーカイブ視聴できます。
リアルタイムでプロレスを楽しみたい方には、ABEMAが入口として一番ラクです。WWEは毎週の放送(アメリカでの放送終了後、日本時間同日の夜)、プロレスリング・ノアは無料の生中継があるので、まず0円で「観る習慣」を作れます。
詳しい観方(アンテナの落とし穴・ネット配信との比較・8月28日の特番の詳細)は天山広吉さんの試合を生中継で観る方法にまとめています。
どの団体がどのサービスで観られるか(無料枠つき)はプロレス配信サービス比較に、無料視聴の具体的な手順はABEMAでプロレスを無料で観る方法にまとめています。
🏛️ アナコンダバイス誕生秘話
アナコンダバイスのやり方を語るうえで欠かせないのが、「この技がどうやって生まれたのか」という背景です。フォームの意味を知るには、生まれた経緯を知るのが一番の近道だからです。
海外遠征中に「カルガリー」で生まれた技
アナコンダバイスが産声を上げたのは、2003年のこと。天山さんが海外遠征していたカナダ・カルガリーで、師と仰ぐ大剛鉄之助(だいごう・てつのすけ)さんの指導のもと開発したと伝えられています。
大剛さんは元国際プロレスの北米部長で、カルガリーで数多くのヤングライオンを鍛え上げた”鬼コーチ”。天山さんも小島聡選手も、この人に絞られた世代です(大剛さんは2017年11月4日に75歳で逝去されました)。
当時の天山さんは、IWGPヘビー級王座戦線の中心にいながら「決定打となるフィニッシュホールドが欲しい」と模索していた時期。海外の地で肉体改造に打ち込み、コスチュームを従来の黒から赤基調へ、髪も黒髪へと一新して凱旋帰国を果たしました。新しい必殺技は、その”生まれ変わり”を象徴する一手でもあったわけです。
技名「アナコンダバイス」の由来
技の名前は、命名者である大剛鉄之助さんが付けたと言われています。意味を分解するとこうなります。
| 言葉 | 意味 | 込められたイメージ |
|---|---|---|
| アナコンダ | 南米に棲む世界最大級の大蛇 | 獲物に巻きつき、一度捕らえたら逃さない |
| バイス(vise) | 英語で「万力(まんりき)」 | 木材などをガッチリ挟んで固定する工具 |
つまり「大蛇のように腕へ巻きつき、万力のように締め上げる」――フォームの本質をそのまま言い表したネーミングなんですね。この記事の前半で「巻きついて離さない万力(バイス)のような拘束力」と書いた理由が、ここでつながります。
なお英語表記はAnaconda Vise。「悪徳」を意味する vice と綴りが似ているので混同されがちですが、この技の「バイス」は工具の万力のほうです(万力は英国式綴りでは vice とも書くため、海外の資料では両方の表記が見られます)。
💡 ファンに愛される小ネタ:天山さんの奥さんが技開発のヒントをくれた、というエピソードも語り継がれています(諸説あり)。家庭のなにげない一コマから日本プロレス史に残る必殺技が生まれた……としたら、なんともロマンのある話です。
🔥 アナコンダバイスの名勝負
技そのものの構造がわかったら、次は「実際に決まった名場面」を知ると、フォームの凄みが一気に立体的になります。
2003年8月17日・両国国技館|G1 CLIMAX決勝 天山広吉さん vs 秋山準選手
アナコンダバイスを語るうえで、これ以上ない名勝負が2003年のG1 CLIMAX決勝です。
会場は両国国技館。決勝の相手は、当時プロレスリング・ノアの看板を背負っていた秋山準選手。つまりこの一戦は、新日本プロレス vs ノアという団体の威信をかけた対決でもありました。
死闘は31分43秒におよびました。最後の最後、天山さんが繰り出した新兵器アナコンダバイスが秋山選手をとらえ、ギブアップ勝ち。天山さんにとって悲願のG1 CLIMAX初優勝が決まった瞬間でした。
カルガリーで磨いた新技が、最高の大舞台で、最高の相手から勝利をもぎ取る――「開発した技で頂点に立つ」という、レスラーにとって理想そのもののストーリー。この試合があったからこそ、アナコンダバイスは”天山さんの代名詞”として一気に広まりました。
そして23年後の2026年8月15日、同じ両国国技館で天山さんは引退しました。技が生まれた場所と、キャリアが終わった場所が同じ――偶然にしては、出来すぎた話です。その日のことは天山広吉さん、ありがとうございましたに書きました。
「決め技」として根づいた理由
一発の華やかさだけなら、もっと派手な技はいくらでもあります。それでもアナコンダバイスが長く決め技として使われ続けたのは、「巻きついたら逃げられない」という説得力があったから。
序盤の打撃や投げで相手を消耗させ、仰向けに転がったところへ滑り込むように極める――この記事の5ステップで分解した流れが、観客に「もう終わりだ」と確信させる完成度を持っていたからこそ、フィニッシュホールドとして信頼され続けたのだと思います。
もう一つ、見落とされがちな理由があります。この技は、体重を使わなくても勝てるんです。若い頃の天山さんはマウンテンボムやムーンサルトプレスで勝負していましたが、キャリア後半になると膝や首の事情で飛べなくなり、担げなくなっていった。そのときに「担がなくても、跳ばなくても、これがあれば勝てる」という技を2003年の時点で持っていたことが、35年という長いキャリアを支えました。技の選び方が、選手寿命を決めることがある。詳しくは天山広吉さんの技一覧・必殺技で技の変遷として整理しています。
❓ アナコンダバイスのよくある質問
Q1. アナコンダバイスはどこが極まるんですか? 腕ですか、首ですか?
A. 両方です。しかも「ついでに首も痛い」ではなく、腕(肘・肩)と首を同時に極めるために設計された形です。V1アームロック部分が肘と肩を、袈裟固め部分が首と上半身を担当します。技の分類としては関節技ですが、絞め技的な効き方も併せ持つ――だから中継を観ていて「絞めてるの? 折ってるの?」と分からなくなるわけです。
Q2. アナコンダバイスは外せますか? 返し方はありますか?
A. 両手のクラッチが組まれる前なら外せます。組まれた後は、自力ではほぼ外せません。完成前なら掴まれた手首を引き抜く、腕を「∧」に折らせない、といった抵抗が有効です。完成後の現実的な脱出はロープエスケープか、タッグ戦での味方のカット。だからプロの試合では「クラッチが組まれるまでの数秒」が最大の攻防になります。
Q3. コブラクラッチとアナコンダバイスは何が違いますか?
A. 主役が首か腕かが違います。コブラクラッチは首側のグリップが中心の絞め技。アナコンダバイスは腕を逆V字に折る関節技+袈裟固めの複合技です。混同されるのは、天山さんの変型「アナコンダマックス」のほうが本当にコブラクラッチで捕らえて倒し込む形をしているから。シリーズの中に両方あるので、説明が混ざりやすいのです。
Q4. アナコンダバイスは誰の技ですか?
A. 本家は開発者の天山広吉さん(新日本プロレス)。2003年にカナダ・カルガリーで、恩師の大剛鉄之助さんの指導のもと生み出しました。海外ではCMパンク選手がアレンジ版をフィニッシュホールドに使い、マイケル・ベネット選手は「ゴー・バック・トゥー・ジャパン」という技名で使用しています。
Q5. 天山さんが引退したら、アナコンダバイスはもう観られませんか?
A. 観られます。新日本プロレスのYOH選手がこの技を継承していて、2026年のBEST OF THE SUPER Jr.準決勝でもアナコンダバイスでギブアップを奪っています。天山さんは2026年8月15日に引退しましたが、技のほうはリングに残りました。
Q6. アナコンダバイスの読み方・英語表記を教えてください
A. 読みはそのまま「アナコンダバイス」、英語表記はAnaconda Viseです。「バイス」は万力(まんりき)のこと。悪徳を意味する vice とは別の単語ですが、英国式綴りでは万力も vice と書くため、海外の資料では両方の表記が見られます。
Q7. アナコンダバイスを観られる試合は?
A. 名場面としてよく挙げられるのは、2003年G1 CLIMAX決勝・天山広吉さん vs 秋山準選手。天山さんがG1初優勝を決めたフィニッシュムーブで、アナコンダバイスが世に出た試合でもあります。NJPW WORLDのアーカイブで探せるほか、2026年8月28日(金)20:00〜22:00にはテレ朝チャンネル2で天山さんの名勝負特集「不屈の猛牛・激闘の果てに」が放送されました。
Q8. アナコンダバイスの組み方を一言で言うと?
A. 「逆V字にした相手の腕の中に、自分の腕を通してクラッチする」――これが核心。Vの隙間に自分の腕を通すという独特のフォームが、この技の唯一無二の構造です。
Q9. アナコンダバイスはどんな体格でも掛けられますか?
A. 体格差があるとフォームの組み立てが難しくなります。自分より大きい相手にかける場合は、まず相手を弱らせて仰向けに転がしてから入るのが定石。プロの試合では、序盤の打撃で消耗させてから決め技として使うパターンが多いです。
Q10. アナコンダバイスのやり方は素人でも真似できますか?
A. 絶対に真似しないでください。本記事は観戦理解のための技術解説です。プロレス技は、長年の身体作りと専門訓練を受けたプロのみが行える格闘技。一般の方が他人にかけると、肘関節・肩関節の脱臼や頸椎損傷、最悪の場合は死亡事故につながります。
🐄 ウッシのひとこと:この技は「組み合わせの発明」だった
アナコンダバイスの構造を分解して、あらためて思うことがあります。この技、新しい動きは何ひとつ発明していないんです。
V1アームロックは柔道の腕緘に通じる古典技。袈裟固めにいたっては、柔道をかじった人なら誰でも知っている基本の抑え込みです。天山さんがやったのは、誰でも知っている2つを、誰もやらなかった形で合体させた――ただそれだけ。
でも、それで日本プロレス史に残る必殺技が1つ生まれた。しかもその技が、G1初優勝を運んできて、キャリアの後半20年を支え、引退後は後輩のリングで生き続けている。
営業を20年やってきて、これは他人事に思えません。新しい商品を発明できる人なんてほとんどいない。でも「既にあるものの組み合わせ方」なら、誰にでも変えられる。畜産の知識と運送の営業を掛け合わせたら、自分にしか話せない話ができた――そういう経験は、たぶん皆さんにもあるはずです。
次にアナコンダバイスが決まる場面を観たら、ぜひ「Vの隙間に腕が通った瞬間」を探してみてください。あそこが、既存の2つが1つになる瞬間です。
それではまた次のプロレス記事でお会いしましょう。マイペースにいきましょう🐄
営業部長のウッシでした。
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📚 参考・出典(5件・2026年8月15日確認)
- Wikipedia:天山広吉(アナコンダバイスの開発年・2003年G1 CLIMAX決勝での初披露・派生技の系統)
- Wikipedia:大剛鉄之助(2017年11月4日逝去・75歳/カルガリーでのヤングライオン指導と天山さんとの師弟関係)
- Number Web「アナコンダバイスも教えた熱き人・大剛鉄之助を悼む。」(大剛鉄之助さんがアナコンダバイスを天山さんに教えたこと/※本文は有料会員向け)
- 新日本プロレス公式サイト(選手プロフィール・大会情報)
- 新日本プロレス公式YouTube:天山直伝!TTD&アナコンダバイス習得への道(本記事に埋め込んだ公式動画。天山さんによる直接指導の映像)
※技のフォーム・構造の呼び方は資料によって表記が分かれる場合があります。本記事の「V1アームロック+袈裟固め」は、複数の技解説資料で共通して確認できた構造にもとづく記述です。8月28日の特番情報は2026年8月時点のスカパー!公式案内によるもので、同番組はすでに放送を終えています。今後の放送予定は必ず公式でご確認ください。
⚠️ 再々掲・免責:本記事はあくまで観戦理解・技術構造の解説目的です。プロレス技を一般の方が他人にかけることは、極めて危険な行為であり、刑事責任・民事責任を問われる可能性もあります。絶対に真似しないでください。
─ 産地と現場の仲間へ ─
🤝 令和8年 熊本地震 災害応援寄附
プロレスは「立ち上がる姿」を見せてくれる競技です。いまリングの外で立ち上がろうとしている方たちへ。このリンクにアフィリエイトは付けていません——紹介料は1円も受け取りません。
熊本県への寄附(返礼品なし・1,000円〜)→ 八代市への寄附 →