卍固め(まんじがため)とは?やり方【図解】・名前の由来・返し方|アントニオ猪木の代名詞技を30年ファンが解説
※本記事はプロモーションを含みます。
こんにちは、営業部長のウッシです。
「卍固め(まんじがため)」――この技名を聞いて、真っ先にアントニオ猪木の姿が浮かぶ人は多いはずです。相手の体に手脚を複雑に絡みつかせ、ぐいっと反らせるあの形。昭和プロレスを代表する”魅せる関節技”であり、猪木の代名詞として語り継がれてきた一撃です。
本記事では、卍固めのやり方・かけ方の構造を、観戦理解の観点から5ステップで分解します。「コブラツイストと何が違うの?」「どこが痛いの?」「なんで”卍”なの?」「今も使う選手はいるの?」という疑問に、30年プロレスを観てきた部長の目線で答えていきます。
卍固め(まんじがため)とは、相手の体に自分の手脚を多重に絡ませ、全身を反らせて極める立ち関節技のこと。先に要点を4つだけ押さえておきましょう。
・① どんな技?=分類は立ち関節技(スタンディング・サブミッション)。効くのは腹斜筋(横っ腹)・肋骨・脊柱(背骨)、そして見落とされがちな肩関節です
・② 誰の技?=アントニオ猪木さんの代名詞。カール・ゴッチさん直伝の技をもとに約半年研究し、1968年12月13日・後楽園ホールで初公開したと伝えられます。今も鈴木みのる選手・ザック・セイバーJr.選手らが使う、現役の技です
・③ 別名・表記ゆれ=読み方は「まんじがため」。英語名はオクトパス・ホールド(Octopus Hold=蛸絡み)で、ヨーロッパでグレイプヴァイン・ストレッチと呼ばれた技が源流とされます。技名は1969年2月、日本テレビの一般公募(3万5000通超の応募)で決まったと伝えられます
・④ かけ方の要点=前かがみにした相手の横に立ち、脚を絡めて軸を奪う→腕の下から通して肩を制する→もう一方の手脚も巻きつける→全身を反らせるという4点固定。完全に極まると、かける側の両足がマットから離れるとされます
なおコブラツイストとの関係は「発展形」として語られることが多い一方、源流をヨーロッパの別技に置く見方もあり、資料によって書き方が分かれます。2つの違いは本文の比較表で並べています。
⚠️ 【重要・免責】本記事はプロレス観戦をより深く楽しむための「技術構造の解説」です。プロレス技は専門的な訓練を積んだプロレスラーのみが行う高度な格闘技です。一般の方が実際に他人に掛けると、肋骨・腰椎・頸部の重大な損傷につながります。絶対に真似しないでください。
📌 この記事でわかること
- 卍固めの読み方・正体と、極まる場所のしくみ
- コブラツイストとの違い【比較表つき】
- 表記ゆれ・別名の早見表(まんじがため/オクトパス・ホールド/アントニオ・スペシャル)
- やり方・かけ方を5ステップで分解(図解つき)+本家フォームの正確な形
- どこが痛いのか(腹斜筋・肋骨だけじゃない「肩」の話)
- 返し方・脱出パターン/「効かない」と言われる理由
- 名前の由来【1969年2月・日本テレビの一般公募3万5000通超】
- 英語名「Octopus Hold」とヨーロッパでの呼び名(源流はイギリス)
- アントニオ猪木さんと卍固めの歴史・名場面(初公開4分34秒/ロビンソン戦)
- 鈴木みのる・ザック・セイバーJr.——現代の使い手
🧬 卍固めの正体:コブラツイストを”進化”させた立ち関節技
卍固めは、一般に「コブラツイストの発展形」として語られる技です。コブラツイスト(アバラ固め)と同じく、相手の横に立った状態で、腹・肋骨・背骨を引き伸ばして極める立ち関節技ですが、卍固めは手脚をさらに深く絡みつけるぶん、拘束力と極めの深さが一段上がります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日本名 | 卍固め |
| 読み方 | まんじがため |
| 英語名 | オクトパス・ホールド(Octopus Hold=蛸絡み) |
| ヨーロッパでの呼称 | グレイプヴァイン・ストレッチ/フィルフォット・ホールド(英) |
| 分類 | 立ち関節技(スタンディング・サブミッション) |
| 極まる場所 | 肩関節・腹斜筋・肋骨・脊柱(背骨)・首 |
| 体勢 | 前かがみにした相手の横に立った状態 |
| ベースの技 | コブラツイスト(アバラ固め) |
| 初公開 | 1968年12月13日・後楽園ホール(アントニオ猪木) |
| 命名 | 1969年2月・日本テレビの一般公募で決定と伝わる |
コブラツイストが「片脚・片腕で相手を反らせる」のに対し、卍固めは両脚・両腕を相手に巻きつけるように使い、逃げ場を多重に封じるのが大きな違い。だから見た目も複雑で、「あの絡まり方、どうなってるの?」と思わせる独特のフォームになります。
その絡みつく姿がタコ(octopus)のように見えたこと、そして手脚を広げた形が漢字の「卍」に似ていたこと――この2つが、技名の由来とされています(命名の経緯は後半で詳しく解説します)。
なお、関節技全体のなかで卍固めがどの位置にあるのかは、プロレス関節技 一覧【図解つき】|全13技の極まる仕組み・痛い順の「首・肩・背」グループを見ると一目でわかります。卍固めは同グループのなかでもっとも極まる箇所が多い技です。
🆚 卍固めとコブラツイストの違い【比較表】
「卍固めとコブラツイストって、結局どこが違うの?」――これは観戦初心者から本当によく聞かれる質問です。ベースは同じ”反らせて極める”立ち関節技ですが、並べてみると性格がはっきり分かれます。
| 比較項目 | コブラツイスト | 卍固め |
|---|---|---|
| 位置づけ | 原型(アバラ固め) | 発展形・強化版 |
| 英語名 | Abdominal Stretch | Octopus Hold |
| 使う手脚 | 片脚+片腕が中心 | 両脚・両腕を多重に絡める |
| 拘束力 | 中(動く余地が残る) | 高(逃げ場を多重に封じる) |
| 返しやすさ | 返せる(ヒップスロー等) | 返しにくい |
| 試合での役割 | 攻防・切り返し合戦の起点 | フィニッシュ(決め技) |
| 観客の沸き方 | 攻防のリズムで沸く | 決まった瞬間に爆発する |
ひとことで言えば、コブラツイスト=“返せる攻防の技”、卍固め=“決まれば終わりの決め技”。同じ系統なのに観客の感情の動かし方が正反対なのが、この2つの技の面白さです。
🐍 原型のコブラツイストの構造・返し方は、コブラツイストとは?やり方・かけ方を5ステップで解説で詳しく分解しています。卍固めとセットで読むと、猪木がなぜ”進化版”を必要としたのかが腑に落ちます。
🔤 卍固めの表記ゆれ・別名|「まんじがため」も「オクトパス・ホールド」も同じ技
卍固めは、呼び名と書き方のバリエーションが多い技です。調べるときに迷いやすいので、同じ技を指す表記を先に並べておきます。
| 表記・呼び名 | どういうものか |
|---|---|
| 卍固め | 日本語の正式な表記。読みは「まんじがため」 |
| まんじがため/マンジガタメ | 読みをひらがな・カタカナで書いた形。技は同じ |
| まんじ固め/卍がため | 漢字とかなを混ぜた書き方。これも同じ技を指す |
| オクトパス・ホールド(Octopus Hold) | 英語名。直訳は「蛸絡み」で、英語圏では今もこの呼び名が通用する |
| グレイプヴァイン・ストレッチ | ヨーロッパでの呼称。源流とされる技 |
| フィルフォット・ホールド | イギリスでの呼称 |
| セラヘーラ(Serahera) | メキシコでの呼称。ルチャリブレのジャベの一種として扱われる |
| 卍固め(アントニオ・スペシャル) | 一般公募の当選名として記録されている形 |
「卍」は寺院の地図記号でおなじみの漢字で、技をかけた姿がこの字に似ていたことが名前の由来とされています。読み方は「まんじがため」。ひらがな表記やかな混じりの書き方を見かけても、指している技は同じです。
コブラツイストとの違いは「絡める手脚の数」
いちばん混同されやすいのがコブラツイストです。上の比較表のとおり、コブラツイストが片脚・片腕を中心に反らせるのに対し、卍固めは両脚・両腕を多重に絡めて逃げ場を潰す。ここが見分けの決め手になります。中継を観ていて「かける側の手脚が、相手のあちこちに巻きついている」と感じたら卍固めです。
📎 この2つの関係には諸説あります:卍固めは「コブラツイストの発展形」として語られることが多い一方、その源流をヨーロッパのグレイプヴァイン・ストレッチに置く資料もあります。どちらか一方が正解と断定できる話ではないため、本記事では「発展形として語られてきた」という書き方で統一しています。
🔥 卍固めのやり方|5ステップで分解
試合で見る卍固めのフォームを、5ステップに分けて解説します。ベースはコブラツイストなので、そこからどう”発展”するかに注目してください。
Step 1:相手の横(やや背後)に立つ
卍固めも、コブラツイストと同じく立った状態から組み立てます。相手の横、あるいはやや背後に位置取りをして、絡みつくための”懐”に入ります。
Step 2:自分の片脚を、相手の脚に深く絡める
相手の脚に自分の脚を絡め、軸を奪います。コブラツイストと共通の入りですが、卍固めではこの脚の絡みをより深く・強くすることで、相手の下半身を完全に固定していきます。
Step 3:相手の腕の下から自分の腕を通し、肩を制する
相手の近い腕の下をくぐらせて自分の腕を通し、相手の肩・上半身を抱え込みます。ここまではコブラツイストとほぼ同じ形です。
Step 4:もう一方の手脚も巻きつけ、「卍」の形を作る
ここが卍固め最大のポイント。コブラツイストでは空いていたもう片方の手脚も使って、相手の体に多重に絡みつける。これにより、相手は逃げる方向をことごとく封じられます。手脚を広げて絡みつくこの瞬間が、「卍」と呼ばれる所以です。
Step 5:全身を反らせて、相手をひねり上げる
最後に、絡みついた状態から自分の全身を反らせて相手を引きつける。これにより:
- 相手の腹斜筋(横っ腹)が強く引き伸ばされる
- 肋骨まわりが圧迫される
- 脊柱(背骨)が多方向にひねられる
コブラツイストが「一方向の反らし」だとすれば、卍固めは手脚で固定したうえで全身を使ってひねるぶん、逃げにくく・効きやすい。これが”発展形”と呼ばれる理由です。
【補足】本家フォームの、もっと正確な形
上の5ステップは観戦時に形を追えるようにざっくり分解したものですが、資料で説明される本家の卍固めはもう少し細かく決まっています。相手を前かがみにした状態でその右横に立ち、
- 相手の右脚に自分の左脚を河津掛け(かわづがけ)して下半身の軸を奪う
- 自分の右脚で相手の頭部を抑え、引っ掛ける
- 相手の左腕を背中側へ直角に曲げ、自分の右腋に抱え込む
——という4点の組み合わせです。そして完全に極まると、かける側は相手の体の上に乗り上がって両足がマットから離れるとされます。テレビで観ていて「猪木の足が浮いてる」と感じたあの状態が、じつは”完成形”の証拠だったわけです。
ここまで読むと、なぜ猪木が「入る手段、方法は五、六通りはある」と語ったと伝えられるのかも見えてきます。4点のどこから先に取るかで、入り口がいくつも作れる技なんです。
💥 卍固めはどこが痛い?効きどころは3つある
卍固めが猪木の決め技になった理由は、フォームに効きどころが複数あるからです。しかも「横っ腹が伸びる技」というイメージだけでは、じつは説明が足りません。
ポイント①:腹斜筋・肋骨の「ストレッチ地獄」
ベースのコブラツイスト同様、横っ腹の筋肉と肋骨まわりを強制的に伸ばします。呼吸すら苦しくなるため、スタミナと体力をじわじわ奪います。
ポイント②:じつは主役かもしれない「肩」
意外に語られないのが肩です。本家フォームでは、相手の腕を背中側へ直角に曲げた状態で抱え込みます。この形は肩関節を無理な方向へ開かせる姿勢で、人の体は本来ここで上半身をひねって逃げることで負荷を分散します。ところが卍固めは脚のフックで下半身と体幹を固定しているため、その”逃げの回旋”が使えません。
つまり卍固めは、「横っ腹を伸ばす技」というより肩をねじりながら、逃げるための体のひねりを封じている技。見た目が地味なのに極められた選手が一瞬で悶絶するのは、ここに理由があると考えると納得がいきます。
ポイント③:手脚の多重ロックで「逃げ場がない」
卍固めの怖さは、痛みそのものより「抜けられない」拘束力にあります。コブラツイストは腰投げ(ヒップスロー)などで返せる余地がありますが、卍固めは手脚を深く絡めるぶん、その返しの余地を潰しているのがポイント。だからこそ”決め技”として機能したわけです。
同じ”逃げ場を消す”設計の技としては、四の字固め(4の字固め)のやり方・返し方がわかりやすい比較対象になります。あちらは脚を組んで固定しますが、卍固めは手脚4点で全身を固定するぶん、拘束の総量が段違いです。
⚠️ 再掲・免責:これらの構造解説は、観戦時の理解を目的としたものです。技を実際に他人にかけることは、解剖学的に極めて危険であり、絶対に行わないでください。
📺 動画で観る(公式)
「本当にそんなに痛いのか?」——その疑問に、レジェンド本人が答えてくれる動画があります。獣神サンダー・ライガー選手が自身の公式チャンネルで、コブラツイストや卍固めが実際どれほど痛いのかを体を張って検証しています。
📺 プロレス技は本当に痛いのか検証(獣神サンダー・ライガーチャンネル 公式)
⚠️ 卍固めの返し方|「決め技」ゆえに脱出は難しい
卍固めは、コブラツイストよりも返し(カウンター)が難しい技です。これは「逃げにくくするために生まれた発展形」という性格そのものから来ています。
脱出が難しい理由
コブラツイストは、極められた側が腰を相手の下に入れる余地が残っているため、ヒップスローでの投げ返しや切り返し合戦が成立しました。一方の卍固めは、手脚を深く絡めて相手の動きを多重に封じるぶん、その”余地”を消しています。だから猪木のフィニッシュとして成立したわけです。
試合で実際に見られる4つの脱出パターン
とはいえ、卍固めが決まっても試合が続く場面はあります。映像で観ていて確認できる脱出の型は、だいたい次の4つに整理できます(いずれも観戦時の見どころとしての整理で、真似のための手順ではありません)。
| 脱出パターン | どうやって逃げるか | 見どころ |
|---|---|---|
| ロープブレイク | 手足をロープへ伸ばし、レフェリーにブレイクさせる | もっとも多い決着回避。腕の伸ばし合いで場内が沸く |
| 後方へ倒れ込む | 乗り上がってきた相手の体重を利用し、背中から一緒にマットへ落ちる | 自分もダメージを負う”相打ち”の逃げ方 |
| コーナー・鉄柱へ運ぶ | 絡みつかれたまま歩き、相手の体をコーナーポストへぶつける | 極められながら移動する足腰が見どころ |
| 完成前に潰す | 手脚を絡める途中で腕を抜く/体を落として形を作らせない | いちばん確実。だから現代の攻防では”入る前”の駆け引きが勝負 |
上3つはどれも「痛みから逃げる」のではなく「体勢を壊す」アプローチです。卍固めは関節を折るというより逃げ道を潰す技なので、脱出も”痛点を外す”より”形を崩す”方向に向かうわけです。
観戦のポイント:「決まったら終わり」の緊張感
返しが難しいということは、卍固めが完全に決まった瞬間=試合の決着を意味します。コブラツイストの「切り返し合戦」が”魅せる攻防”だとすれば、卍固めは”決まれば終わり”の一撃必殺。同じ立ち関節技でも、観客に与える緊張感がまったく違うのが面白いところです。
💡 整理:コブラツイスト=返せる”攻防の技”/卍固め=返しにくい”フィニッシュの技”。猪木はこの両方を自在に操りました。
🤔 卍固めは「効かない」って本当?現代で使い手が減った理由
卍固めについて調べると、「卍固め 効かない」という言葉を目にすることがあります。猪木の代名詞にまでなった技なのに、なぜそう言われるのか。部長なりに整理すると、理由は3つ考えられます。
理由①:かけるまでの工程が多い
5ステップで見たとおり、卍固めは完成までに手脚を何重にも絡める必要がある技です。現代プロレスのスピーディーな攻防では、形を作っている途中で潰されやすい。「決まれば強いが、決まるまでが長い」――この性質が、“効かなそう”に見える一因だと思います。
理由②:体格差や柔軟性でフォームが崩れる
手脚を深く絡める技ゆえに、かける側とかけられる側の体格バランスが合わないと、絡みが浅くなりフォームが崩れます。締まりの甘い卍固めは、見た目に「あれ、痛くなさそう…」と映ってしまう。技の構造上、誰がかけても同じ威力にはならない技なんです。
理由③:フィニッシュの主流が変わった
現代は打撃や投げからの高速ピンフォール、絞め技系サブミッションが決め技の主流。立ち関節技をフィニッシュに据える選手自体が減りました。使う人が減れば”極まる場面”も減り、「効かない技」という印象だけが残りやすいわけです。
部長の見立て:「効かない」のではなく「決まる形に入るのが難しい」
ただし、構造そのものを見れば、腹斜筋・肋骨・背骨を多方向から伸ばす負荷は本物です(だからこそ絶対に真似してはいけません)。「効かない技」なのではなく、「完璧に決まる形へ持ち込むこと自体が高難度の技」――これが30年プロレスを観てきた部長の見立てです。だからこそ、完璧な卍固めが決まった瞬間は、今でも会場がどよめくんです。
そして「使い手が減った」とはいえ、ゼロになったわけではありません。次の章で、今も卍固めを手札に持っている選手を並べておきます。
👥 卍固めは今も使われている|現代の使い手たち
「猪木の技」で話が終わってしまいがちな卍固めですが、今も使う選手はいます。資料で使い手として挙げられるのは、たとえば次の面々です。
| 選手 | 卍固めの立ち位置 |
|---|---|
| 藤波辰爾選手 | 猪木の直弟子。ドラゴンスリーパーと並ぶ”継承者”としての卍固め |
| 天龍源一郎 | 全日本〜SWS時代の使い手として名前が挙がる |
| 馳浩 | アマレス出身らしい、形の正確さで極めるタイプ |
| 西村修 | ”昭和のプロレス”を体現するスタイルのなかで多用 |
| 鈴木みのる | パンクラス帰りの関節技職人。効かせる系の卍固め |
| ザック・セイバーJr. | 現代の最有力使い手。関節技の連結のなかで自然に卍へ入る |
| TAJIRI | 海外マットでも通じる”見せる”サブミッションとして |
注目したいのは、この並びが「昭和のロマン」ではなく「関節技を武器にする現役の技術者」に寄っていることです。とくにザック・セイバーJr.選手の卍固めは、単発の必殺技ではなく関節技の連鎖のなかの一手として出てきます。腕を取る→ひねる→気づいたら卍、という流れ。猪木の「入る手段は五、六通り」という言葉を、令和のリングで実演しているようなものです。
鈴木みのるの関節技の考え方については、【闘魂列伝㉒】鈴木みのる|“世界一性格の悪い男”の必殺技・経歴で経歴ごと掘っています。パンクラスで極め技を突き詰めた男が卍固めを使うと、“様式美”ではなく”痛い技”に見える。この違いは観ていて本当に面白いところです。
🐄 部長メモ:卍固めは体格差がある相手にも決まるのが強みで、猪木も「相手が大きいほど決まる利点がある」と語ったと伝えられています。だから体重で押し切るタイプではない選手ほど、この技を手札に残す価値がある。使い手の顔ぶれが技術者寄りなのは、偶然ではないと思います。
🐉 アントニオ猪木さんと卍固め
日本で卍固めといえば、アントニオ猪木を抜きには語れません。猪木はこの技を自らのフィニッシュ・ホールドとして磨き上げ、「燃える闘魂」の象徴技として観客の記憶に刻みました。
技のベースになったのは、「プロレスの神様」カール・ゴッチ直伝のレスリング技術。猪木は試合後に、ゴッチ直伝の技を約半年かけて研究していたと語ったと伝えられています。コブラツイストを得意としていた猪木が、それをさらに進化させた決め技として完成させたのが卍固めだった――という流れです。
💡 コブラツイストと卍固めの関係:卍固めは、コブラツイストのフォームから手脚の絡め方をさらに複雑にし、相手をより深く・逃がさず極める発展形として語られてきました(源流をヨーロッパの技に置く見方もあります)。猪木さんはこの両方を自在に操りました。
シンプルな立ち関節技を、フィニッシュにまで昇華させる。「技そのものより、技をどう見せ、どう決めるか」――猪木のプロレス哲学が、卍固めという一撃に凝縮されているように思います。
猪木自身、この技を「ウルトラCクラス」と表現し、「相手が大きいほど決まる利点がある」と語ったと伝えられています。体格で劣る側が巨漢を沈める絵を作れる――昭和のプロレスが求めていたものと、この技の性質がぴたりと噛み合ったわけです。
余談:参院選のキャッチフレーズは「国会に卍固め」
卍固めが猪木の代名詞だったことを何より示しているのが、政界進出のときのキャッチフレーズです。参院選に立候補した際、掲げられたのは「国会に卍固め」だったと伝えられています。技の名前がそのまま人の看板になる。ここまで技と人が一体になったレスラーは、そう多くありません。
アントニオ猪木の生涯を追うなら【闘魂列伝⑭】アントニオ猪木|「1・2・3・ダーッ!」を生んだ燃える闘魂の生涯、言葉から入るならアントニオ猪木さんの名言集|詩「道」全文と本当の作者へ。卍固めという技の理屈を知ったあとに名言を読むと、「馬鹿になれ」の意味がまた違って響きます。
📺 卍固めの名場面を動画で観るには?
卍固めの”絡みつく複雑なフォーム”や、決まった瞬間の会場の空気は、文章だけでは伝わりきりません。実際の試合映像で観るのが最短ルートです。
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🏛️ 卍固めの歴史と「卍固め」命名の由来
卍固めには、技そのものの構造だけでなく、生まれた経緯と命名のドラマがあります。ここが卍固めの一番面白いところかもしれません。
きっかけは「コブラツイストの奪い合い」
猪木はもともとコブラツイストをフィニッシュ・ホールドとして多用し、人気を博していました。ところが、ライバルのジャイアント馬場さんもコブラツイストを使うようになったと言われています。すると、猪木だけの”特別な技”だったコブラツイストが、だんだん「みんなが使う一般的な技」になっていった――。
当時の猪木の問題意識は「コブラはスカされるし、誰にでもできる」という点にあったと伝えられています。つまり卍固めは、“かっこいい技が欲しい”ではなく「スカされない技が欲しい」という実務的な要求から生まれたわけです。ここが個人的にいちばん好きなポイントで、営業の商談で言えば「誰でも言える提案から、自分しか出せない提案へ」の切り替えそのものです。
カール・ゴッチ直伝の技だった
卍固めのベースになったのは、「プロレスの神様」カール・ゴッチから学んだレスリング技術です。ゴッチは1968年頃に来日して日本プロレスのコーチを務めており、猪木はこの時期にこの技の原型を学んだと言われています。猪木はそれを約半年かけて研究し、自分の技として仕上げたと伝えられています。半年ものあいだ表に出さずに温めた――これが”必殺技”の作り方だという話です。
そもそもの源流はイギリスにあった
意外に知られていませんが、この技は猪木のオリジナルではなくヨーロッパの下地がある技です。ヨーロッパではグレイプヴァイン・ストレッチ、イギリスではフィルフォット・ホールドと呼ばれ、源流はイギリスのカンバーランド・スタイル・レスリングにあるとされます。ゴッチ経由で日本に入り、猪木の手で”卍固め”という日本の技になった。技の系譜としては、輸入されて日本で完成した技という位置づけです。
英語名「Octopus Hold(オクトパス・ホールド)」から「卍固め」へ
技が初めて公の場で披露されたのは、1968年12月13日、後楽園ホール(日本プロレス)。ジャイアント馬場さんと組んだタッグマッチで、ブルート・バーナードを相手に初公開され、60分3本勝負のタッグ戦で、2本目の4分34秒にギブアップを奪ったと伝えられています。デビュー戦で即ギブアップ――技のお披露目としては、これ以上ない結果です。
猪木がこの技をかける様子が、まるでタコ(octopus)が何かに絡みつくように見えたことから、レフェリーの沖識名が「Octopus Hold(オクトパス・ホールド=蛸絡み)」と名づけたとされます。英語圏では現在もこの Octopus Hold が正式な技名として通用しています(初公開当時は元の呼び名である「グレープバイン・ホールド」で紹介されていた、とする資料もあり、呼称の経緯には諸説あります)。
その後、この技が猪木の代名詞となるにつれ、技名の一般公募が、中継局だった日本テレビの『日本プロレス中継』を通じて行われました。そして1969年2月6日、3万5000通を超える応募のなかから、技をかけた姿が漢字の「卍」に似ていることにちなんだ「卍固め」が選ばれた――と伝えられています。当選名には「卍固め(アントニオ・スペシャル)」という形も記録されています。
3万5000通。テレビの前の視聴者がハガキを書いて送った数がこれです。技の名前をファンが決めたという事実そのものが、当時のプロレス人気の熱量を物語っています。
💡 整理すると:源流はイギリス(グレイプヴァイン・ストレッチ)→ゴッチが猪木に伝授→猪木が約半年研究→1968年12月13日に初公開(4分34秒でギブアップ)→英語名オクトパス・ホールド→1969年2月6日、日本テレビの一般公募3万5000通超から「卍固め」に決定。
地味に見える立ち関節技に、「ライバルとの技の奪い合い」「神様直伝」「一般公募での命名」という昭和プロレスらしいドラマが詰まっている――そう知ると、あのフォームがちょっと違って見えてきませんか。
※本記事で触れた経緯・年号は、各種資料で広く語られている内容をもとにしています。当時の細かな展開には諸説あり、ここでは「〜と伝えられる」範囲でご紹介しています。
🔥 卍固めの名場面|猪木の代名詞が輝いた試合
卍固めの魅力は、「決まれば終わり」の一撃必殺として、試合の決着を演出してきたところにあります。私は猪木の全盛期をリアルタイムで観ていない世代ですが、映像で観返すたびに「これは特別な技だ」と感じる場面がいくつもあります。
1968年12月13日・後楽園ホール:すべてが始まった初公開
卍固めのデビュー戦とされるのが、1968年12月13日の後楽園ホール大会。ジャイアント馬場さんと組んだタッグマッチ(いわゆるBI砲)で、猪木がブルート・バーナード相手にこの技を初披露したと伝えられています。コブラツイストに代わる”猪木だけの技”が産声を上げた夜です。
1970年・NWAタッグリーグ戦:ニック・ボックウィンクルを沈めた優勝
初公開から間もない時期の代表例が、1970年のNWAタッグリーグ戦。猪木が卍固めでニック・ボックウィンクルを破り、優勝につなげたと伝えられています。のちにAWA世界王者となる技巧派レスラーを、この技で仕留めた――「魅せる技」であると同時に実際に勝ちを取る技だったことがわかる一例です。
1975年12月11日・蔵前国技館:ビル・ロビンソン戦「執念の卍固め」
映像で観られる卍固めの名場面として、まず挙げたいのがビル・ロビンソン戦(NWFヘビー級選手権・60分3本勝負)です。“人間風車”ロビンソンに1本を先取された猪木が、試合終了が迫る残りわずかの時間で卍固めを捕獲し、1本を取り返して1-1の時間切れ引き分け――王座防衛に望みをつないだ、と伝えられる一戦。新日本プロレス史上初の60分フルタイムとされるこの試合は、今も「史上屈指の名勝負」として語り継がれています。追い詰められた猪木が最後にすがったのが、ほかでもない卍固めだった――代名詞という言葉の重みが詰まった場面です。
複雑なフォームの”絵になる”美しさ
手脚を相手に多重に絡みつける卍固めは、シルエットそのものが美しい技でもあります。相手を完全に封じ込めたあの独特の形は、決まった瞬間に「これは終わる」と観客全員に伝わる説得力がある。猪木のリング上のカリスマ性と相まって、プロレスの様式美を象徴するフォームとして語り継がれてきました。
「卍固め」という名前が持つ強さ
技の名前自体が、技の価値を押し上げた稀有な例でもあります。「オクトパス・ホールド」のままだったら、ここまで日本人の記憶に刻まれたかどうか。「卍固め」という漢字の響きと形が、技の神秘性と必殺性を何倍にも高めた――そんな見方もできる、ネーミングの妙が光る一撃です。
📺 卍固めの複雑なフォームや、決まった瞬間の会場の空気は、文章だけでは伝わりきりません。実際の映像で観てこそ、その凄みが腑に落ちます。気になった方は、後述のABEMAなどで過去の名勝負をチェックしてみてください。
※本記事で触れた試合・経緯は、各種資料で広く語られている内容をもとにしています。当時の細かな展開には諸説あり、ここでは「〜と伝えられる」範囲でご紹介しています。
❓ 卍固めに関するよくある質問
Q1. 卍固めとは?
A. 相手の体に自分の手脚を多重に絡ませ、全身を反らせて極める立ち関節技です。読み方は「まんじがため」、英語名はオクトパス・ホールド(Octopus Hold)。アントニオ猪木さんが自らのフィニッシュ・ホールド(決め技)として完成させ、代名詞にした技です。効くのは腹斜筋(横っ腹)・肋骨・脊柱(背骨)に加えて、背中側へねじられる肩関節。昭和の技という印象を持たれがちですが、今も鈴木みのる選手やザック・セイバーJr.選手が使う現役の技です。
Q2. 卍固めの読み方は?
A. 「まんじがため」です。「卍(まんじ)」は寺院の地図記号でおなじみの漢字で、技をかけた姿がこの字に似ていることが名前の由来とされています。
Q3. 卍固めのやり方は素人でも真似できますか?
A. 絶対に真似しないでください。本記事は観戦理解のための技術解説です。卍固めは肩関節・腹斜筋・肋骨・背骨に強い負荷をかける技で、専門訓練を受けていない人が他人にかけると重大な怪我につながります。
Q4. 卍固めとコブラツイストは何が違うんですか?
A. 卍固めはコブラツイストの発展形として語られる技です。基本の体勢は同じ立ち関節技ですが、卍固めは手脚をさらに深く・多重に絡めるぶん、拘束力が高く、返しにくいのが特徴。コブラツイストが「返せる攻防の技」なら、卍固めは「決まれば終わりのフィニッシュ技」です。
Q5. なぜ「卍固め」という名前なんですか?
A. 技をかけた姿が漢字の「卍」に似ていたことが由来とされています。最初はタコの絡みつきに似ていたことから「オクトパス・ホールド(蛸絡み)」と呼ばれ、その後1969年2月6日、日本テレビの一般公募で寄せられた3万5000通を超える応募のなかから「卍固め」が選ばれた――と伝えられています。名付け親はファンです。
Q6. 卍固めはどこが痛いんですか?
A. 横っ腹(腹斜筋)と肋骨のストレッチ、背骨・首のひねり、そして見落とされがちな肩関節の3方向です。腕を背中側へ曲げて抱え込まれ、しかも脚のフックで”ひねって逃げる”動きを封じられるため、肩に負荷が逃げ場なく集まります。
Q7. 卍固めの返し方・脱出方法はあるんですか?
A. 試合で見られるのは①ロープブレイク ②相手を担いだまま後方へ倒れ込む ③コーナー・鉄柱へぶつける ④そもそも完成させないの4パターンです。痛点を外すのではなく体勢そのものを壊す方向の逃げ方になるのが、この技の性質です(真似はしないでください)。
Q8. 卍固めは現代でも使う選手がいますか?
A. います。資料で使い手として挙げられるのは藤波辰爾・天龍源一郎・馳浩・西村修・鈴木みのる・ザック・セイバーJr.・TAJIRIなど。とくにザック・セイバーJr.選手は、関節技を次々つなぐ攻めのなかで自然に卍固めへ入っていくため、“昭和の技”という印象を覆してくれます。
Q9. 卍固めはアントニオ猪木さんの技ですか?
A. 日本で広めて代名詞にしたのはアントニオ猪木です。技のベースは「プロレスの神様」カール・ゴッチ直伝のレスリング技術とされ、さらにその源流はイギリスのカンバーランド・スタイル・レスリングにあると言われます。猪木はそれを約半年研究し、自らのフィニッシュ・ホールドとして完成させました。
Q10. 卍固めは英語で何と言いますか?
A. Octopus Hold(オクトパス・ホールド)です。直訳すると「蛸絡み」。猪木が技をかける姿がタコの絡みつきに見えたことから、レフェリーの沖識名が名づけたと伝えられ、英語圏では今もこの名前で呼ばれています。ヨーロッパではグレイプヴァイン・ストレッチ、イギリスではフィルフォット・ホールドという呼び名も知られています。
Q11. 卍固めの初公開はいつですか?
A. 1968年12月13日・後楽園ホール(日本プロレス)とされています。ジャイアント馬場さんと組んだタッグマッチで、猪木がブルート・バーナードから4分34秒でギブアップを奪ったと伝えられています。
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⚠️ 再々掲・免責:本記事はあくまで観戦理解・技術構造の解説目的です。プロレス技を一般の方が他人にかけることは、極めて危険な行為であり、絶対に真似しないでください。
📚 出典・参考資料(4件)
- 卍固め - Wikipedia ── 技の掛け方(河津掛け・両足が浮く完成形)、初公開(1968年12月13日・後楽園ホール)、沖識名による命名、日本テレビでの一般公募、ヨーロッパでの呼称(グレイプヴァイン・ストレッチ/フィルフォット・ホールド)、メキシコでの呼称(セラヘーラ)、別名アントニオ・スペシャル、コブラツイストが一般化したため卍固めを開発したとする当時の報道、使い手(馳浩・鈴木みのる・ザック・セイバーJr.・TAJIRI・西村修)
- 【昭和~平成 スター列伝】決まれば終わり…ゴッチ直伝「卍固め」を手に入れて猪木の快進撃が始まった(東スポWEB) ── ゴッチ直伝と約半年の研究、初公開で4分34秒のギブアップ、1969年2月6日の公募で3万5000通超から「卍固め」決定、猪木の「ウルトラCクラス」「相手が大きいほど決まる」「入る手段は五、六通り」発言
- 1975年 アントニオ猪木60分戦い抜いたビル・ロビンソン戦…人間風車を苦しめた〝代名詞〟卍固めの極意(東スポWEB) ── ロビンソン戦の経過と卍固めについて
- 【13】卍固め/プロレス技50選(デイリースポーツ online) ── 1970年NWAタッグリーグ戦でニック・ボックウィンクルを卍固めで破り優勝、参院選のキャッチフレーズ「国会に卍固め」、使い手(天龍源一郎・藤波辰爾・鈴木みのる)
※出典は2026年7月29日に内容を確認しています(Wikipedia「卍固め」の項目は2026年9月5日に再確認、他3件もリンクの生存を同日確認)。本記事の歴史的記述は上記資料で広く語られている内容に基づきます。当時の細部には諸説あるため、断定を避けた表現でご紹介しています。
卍固めの面白さは、技の構造そのものだけじゃありません。「オクトパス・ホールド」が「卍固め」に変わった瞬間に、この技は伝説になったと思うんです。しかもその名前は、猪木本人でも会社でもなく3万5000通のハガキを書いたファンが決めた。技も名前も、観る側と一緒に作られたわけです。
同じ技でも、どう名づけ、どう見せるかで価値がまるで変わる。これは仕事にも通じる話で、中身が同じ提案でも、ひと言の”見せ方”で刺さり方が変わる場面って、営業でも本当に多いんですよね。シンプルな一言、強い言葉がどれだけ大事か――猪木の卍固めは、それを技で証明してくれている気がします。
技のフォームと、その裏のドラマを知ると、プロレス観戦は確実に面白くなります。それではまた次のプロレス記事でお会いしましょう。
営業部長のウッシでした。
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