上谷沙弥|落ちこぼれアイドルが女子初のMVPへ
※本記事はプロモーションを含みます
「上谷沙弥って、元アイドルなんでしょ? 実力はどうなの?」
「あの飛ぶ技、最近見ない気がするんだけど、やめたの?」
この2つ、どちらも答えは同じ場所にたどり着きます。上谷沙弥選手は、元アイドルどころか、2025年の東京スポーツ制定プロレス大賞で女子選手として史上初めてMVPを獲った人。そしてあの飛ぶ技——フェニックス・スプラッシュは、2024年4月に本人が封印を宣言している。
代名詞を手放して、それでも頂点に立った。女傑列伝の今回は、この人です。
🐄(ウッシ小声:「代名詞を失う」って、営業やってる身にはけっこう刺さる話なんですよ)
- 1996年11月28日生・神奈川県出身・168cm/58kg。スターダム所属。称号は「Phenex Queen」
- 小3から高校卒業までEXPGでダンス。2009年のWORLD HIPHOP DANCE CHAMPIONSHIPジュニア部門で世界第2位、高校時代はEXILEのバックダンサーとして東京ドームに立った
- 2019年8月10日、後楽園ホールでデビュー。相手は渡辺桃選手
- ワンダー・オブ・スターダム王座(白ベルト)第16代で15度防衛=同王座の最多連続防衛記録。のちに最高峰のワールド・オブ・スターダム王座(赤ベルト)第20代、STRONG女子王座第6代も戴冠
- 2024年4月23日、代名詞だったフェニックス・スプラッシュの封印を宣言(肩の負傷のため)。現在のフィニッシュはスター・クラッシャー
- 2025プロレス大賞(東京スポーツ新聞社制定)で、女子選手として史上初のMVPを受賞
- 2026年8月時点は5★STAR GP 2026のBLUE STARS-Bブロックを戦っている最中
この記事でわかること
- ダンスで世界2位まで行った身体能力が、リングでどう化けたのか
- デビュー戦の相手・渡辺桃選手と、7年後の2026年8月3日に何が起きたのか
- 白ベルト15度防衛という記録の中身と、赤ベルト・STRONG女子王座の戴冠歴
- Queen’s Quest事実上の解散からH.A.T.E.入りまで、ヒールターンの経緯
- なぜフェニックス・スプラッシュを封印したのか。何で作り直したのか
- 2026年の出来事(自伝出版・海外メディア1位・MVP)と、いま観るべき試合日程
上谷選手はBLUE STARS-Bブロックで公式戦を戦い、8月1日・仙台でコグマ選手に勝利、8月3日・後楽園では渡辺桃選手と時間切れドロー。しかし8月15日・京都で壮麗亜美選手に敗れ、勝ち点8で迎えた8月16日・浜松の最終戦で羽南選手に敗戦。決勝トーナメント進出はなりませんでした。試合後には「ここから絶対に逆襲してやる」とコメントしています(東スポWEB)。決勝トーナメント(8月18日・後楽園/8月23日・両国)は上谷選手不在で争われ、8月23日の両国決勝で吏南選手がスターライト・キッド選手を下し、5★STAR GP史上最年少優勝を果たしました。
※2026年8月23日時点の情報です。最新はスターダム公式でご確認ください。
本人が表紙・本人だけの一冊も出ています。リングの外の上谷選手を見たい人は、電子写真集『Natural×Queen』からどうぞ(この記事を読み終わる頃には、見え方が変わっているはずです)。
📋 上谷沙弥選手 プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リングネーム | 上谷 沙弥(かみたに さや/Saya Kamitani) |
| 生年月日 | 1996年11月28日(2026年8月時点で29歳) |
| 出身 | 神奈川県 |
| 身長/体重 | 168cm/58kg |
| 称号 | Phenex Queen |
| デビュー | 2019年8月10日・後楽園ホール(対 渡辺桃選手) |
| 所属ユニット | 無所属 → Queen’s Quest(2020年2月〜2024年7月) → H.A.T.E.(2024年7月〜) |
| 得意技 | スター・クラッシャー/フランケンシュタイナー/スワンダイブ式プランチャー(以上スターダム公式プロフィール記載)。ほかにフライング・ニールキック、旋風脚なども使用 |
| 主なタイトル | ワンダー・オブ・スターダム王座(第16代・15度防衛)/ワールド・オブ・スターダム王座(第20代)/STRONG女子王座(第6代)/ゴッデス・オブ・スターダム王座(第18代・第30代)/ハイスピード王座(第26代)/Regina di WAVE王座(第22代) |
| 主な受賞 | 2025プロレス大賞MVP(東京スポーツ新聞社制定・女子選手初)/ルーキー・オブ・スターダム2019優勝/シンデレラトーナメント2021優勝/Catch the WAVE 2024優勝 |
📝 ここがポイント:上谷選手はプロレス一筋で育った選手ではありません。ダンスとアイドルという別の畑から入ってきた人です。その出自を「弱み」ではなく「他人が持っていない身体操作」として使い切ったところに、この選手の面白さがあります。
🕺 ダンスで世界2位、EXILEの後ろで東京ドーム——プロレス前の10年
上谷選手のキャリアは、リングの外から始まっています。
小学3年生から2年間、器械体操。同じく小3から高校卒業までの長い期間、LDHが運営するダンススクールEXPGに通っていました。中学時代にはヒップホップダンスの日本大会で優勝。そして2009年、WORLD HIPHOP DANCE CHAMPIONSHIPのジュニア部門で世界第2位という結果を残しています。
さらに高校時代には、EXILEのバックダンサーとして東京ドーム公演・さいたまスーパーアリーナ公演のステージに立っています。10代で東京ドームの照明を浴びているわけです。
その後、2014年8月から2015年2月まで「バイトAKB48」として活動。AKB48チームAの劇場公演でバックダンサーも務めています。
つまりプロレスに来る前の時点で、「大きな会場で、大勢の視線の中で体を動かす」経験を10年以上積んでいた。これは後から練習して身につくものではありません。
🎤 「落ちこぼれ」の自己認識——自伝タイトルが物語のすべて
ここが不思議なところなんですが、経歴だけ並べると華やかそのものなのに、本人はそこを「落ちこぼれ」と表現しています。
2026年2月20日にKADOKAWAから出た初の自伝、そのタイトルが『アイドルで落ちこぼれだった私がプロレス界のセンターに立った話』。センターに立てなかった側の人間が、別のリングでセンターを取った——という構造が、そのまま書名になっています。
2018年10月、スターダム★アイドルズに加入。これがプロレスへの入口でした。そして2019年7月10日にプロテスト合格、翌月にはもうリングに上がっています。
🐄(ウッシ小声:自分で自分を「落ちこぼれ」と名乗れる人は、たいてい強いです。ごまかしてない人だから)
🥊 2019年8月10日、後楽園ホール——始まりの相手は渡辺桃選手
デビュー戦は2019年8月10日、後楽園ホール。相手は渡辺桃選手でした。
そして同年12月8日、「ルーキー・オブ・スターダム」で優勝し新人王を獲得。デビューした年のうちに、その年の最優秀新人になっています。
翌2020年2月には、林下詩美選手の推薦でQueen’s Questに加入。林下選手とのタッグは「AphroditE」と名付けられ、ゴッデス・オブ・スターダム王座(タッグ王座)を戴冠する主力コンビになりました。2021年にはシンデレラトーナメント優勝。ここまでが、上り調子のベビーフェイスとしての第一章です。
そして7年後、2026年8月3日——同じ後楽園で
ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
2026年8月3日、後楽園ホール。5★STAR GP 2026の公式戦で、上谷選手は渡辺桃選手と時間切れドローを演じました。
デビュー戦の相手と、7年後、同じ後楽園のリングで、決着がつかないまま時間切れになる。
新人だった側が、赤ベルトを巻いてMVPを獲った側になって、それでも始まりの相手を倒し切れない。プロレスにはたまにこういう縦の線が通ります。台本として作れる話ではなくて、両方がやめずに続けたから、7年かけて勝手にそこへ着いただけの話です。だから重い。
後楽園ホールで観戦する際の座席・行き方は後楽園ホール観戦ガイドにまとめています。
👑 15度防衛——「守る」で記録を塗り替えた白ベルト
上谷選手の名前を歴史に刻んだのは、獲った回数ではなく守った回数です。
2021年12月29日、ワンダー・オブ・スターダム王座(白ベルト)を第16代王者として戴冠。ここから2023年4月23日に陥落するまでの間に15度の防衛を果たし、2023年3月4日に同王座の最多連続防衛記録を樹立しました。
ベルトは、獲るより守るほうが難しい。挑戦者は毎回こちらを研究して上がってきて、王者だけが全員の標的になり続けます。それを1年4か月、15回。
同じ「守る」の凄みはブル中野さんのWWWA王座1057日にも書きました。時代も団体も違いますが、頂点に居座り続けた人だけが持つ空気は共通しています。
赤ベルト、そしてSTRONG女子王座
白ベルトを手放したあと、上谷選手はさらに上へ行きます。
- 2024年12月29日:スターダム最高峰のワールド・オブ・スターダム王座(赤ベルト)を第20代王者として戴冠
- 2025年9月27日:STRONG女子王座を第6代王者として戴冠
- 2026年1月4日:東京ドームで朱里選手とのIWGP女子王座との二冠戦に敗れ、STRONG女子王座を失う
- 2026年2月7日:スターライト・キッド選手を相手に赤ベルトを防衛(この試合中に利き手の指を脱臼するアクシデントに見舞われている)
- 2026年4月26日:横浜アリーナで玖麗さやか選手に敗れ、赤ベルトを陥落(V10戦)
赤ベルトの政権は約1年4か月。東京ドームと横浜アリーナで、シングルの最重要試合を戦う位置にいたということです。
他団体でも、プロレスリングWAVEの「Catch the WAVE 2024」優勝(2024年7月14日)とRegina di WAVE王座(第22代・2024年11月4日戴冠/2025年8月10日に陥落)を記録しています。
😈 ユニット消滅、そしてH.A.T.E.——看板がヒールになった日
キャリアで一番きな臭い転換点が、2024年です。
2024年6月22日、国立代々木競技場第二体育館。Queen’s Quest対大江戸隊の「最終敗者以外4人ユニット追放イリミネーションマッチ」で、上谷選手は最後まで生き残りました。ただし、喜べる残り方ではありません。ルール上、最後に残った1人を除くAZM選手・妃南選手・レディ・C選手・天咲光由選手の4人が追放され、Queen’s Questは事実上の解散。上谷選手はユニット旗を1人で持って退場することになりました。
なお、タッグパートナーだった林下詩美選手との「AphroditE」は、これより前に終わっています。林下選手は2024年3月末付でスターダムを退団し、4月12日の試合を最後にスターダムのマットを去っていました。
そして2024年7月28日、札幌大会でヒールターンし、ヒールユニット「H.A.T.E.」に加入。団体の看板として声援を浴びてきた選手が、憎まれる側に回りました。
翌29日には自身のSNSに「Golden phoenix is died. I’m Phenex Queen.」と投稿しています。Phenex(フェネクス)とは、悪魔として描かれたときのフェニックスの名前。ベビーフェイス時代の異名「ゴールデン・フェニックス」を自分で殺して、闇に落ちた不死鳥になる——現在の称号「Phenex Queen」は、この宣言から来ています。
ここは評価が分かれるところですが、ウッシはヒールへ行ける選手のほうが寿命が長いと思っています。ベビーフェイスは「応援される役」なので、勢いが落ちた瞬間に立ち位置ごと目減りする。ヒールは嫌われた分だけ仕事が成立するので、下り坂でも役割が消えない。しかも憎まれ役の質が、相手側の物語の質をそのまま決めます。
嫌われ役を極めた人がどうなるかは、ブル中野さんの記事とダンプ松本さんの記事で書いたとおりです。
🐄(ウッシ小声:社内でも「良い人」だけで20年やり切るのは無理なんですよね。どこかで嫌われる仕事を引き受けた人が、結局いちばん残る)
💥 代名詞の封印——フェニックス・スプラッシュを手放した話
ここからが、この選手を語るうえで絶対に外せない部分です。
かつて上谷選手の代名詞はフェニックス・スプラッシュでした。コーナー最上段でリングに背を向けて立ち、ひねりを加えながら前方へ一回転して相手に落ちる高難度の飛び技です。ベビーフェイス時代の異名「ゴールデン・フェニックス」は、この技から来ていました。
しかし——
- 2022年11月:ワンダー王座V10戦で放ったこの技が、挑戦者・白川未奈選手のアゴに命中。白川選手を2か月の欠場に追い込んでしまい、以降は封印。上谷選手自身も「リングに立つ恐怖と戦いながら」防衛ロードを歩んだと語っています
- 2023年4月23日:横浜アリーナでの白川未奈選手との再戦で、約5か月ぶりに一度だけ解禁。しかしこの試合に敗れて白ベルトから陥落し、以後この技は使われていません(この試合に向けた練習中、すでに肩を負傷していたことを後に明かしています)
- 2024年4月23日:東京スポーツのインタビューで正式に封印を宣言。理由は積み重なった肩の故障で、本人は「病院に行ったら肩が脱臼してると診断されて。靱帯が3本中2本切れていました」と語っています
つまり2026年現在、フェニックス・スプラッシュは上谷選手の「今の技」ではありません。ここを間違えて書いている記事がまだ多いので、はっきり書いておきます。技そのものの構造や歴代の使い手はフェニックス・スプラッシュのやり方にまとめてあります。
代わりに育てたのが、スター・クラッシャー
看板技を失った選手が普通に取る道は、地味な劣化です。派手さが消えて、印象が薄くなって、いつのまにか中堅になる。
上谷選手はそうならなかった。スター・クラッシャー——フィッシャーマン・バスターの形で抱え上げ、変形のみちのくドライバーIIで落とし切る技を、勝負どころの一撃に育て直しました。
空中で決める技から、地上で仕留める技へ。そして技を入れ替えた後に、赤ベルトもSTRONG女子王座もMVPも獲っています。看板を替えたあとのほうが、実績は上なんです。
もうひとつの武器がフランケンシュタイナー。相手の肩に飛び乗って後方回転で投げる技で、これは体幹と可動域がないと成立しません。ダンスで作った体が、いちばん分かりやすく効いている技です(技の構造はフランケンシュタイナーのやり方へ)。
打撃ではフライング・ニールキックや旋風脚、飛び技ではスワンダイブ式プランチャーも使います。飛ぶこと自体をやめたわけではなく、肩を壊す入り方の技だけを外した——という整理が正確です。
⚠️ 注意:プロレス技は専門訓練を受けた選手が安全管理下で行うものです。一般の方は絶対に真似しないでください。
⚔️ 2025年——一人のレスラーのキャリアを、自分の手で終わらせた
上谷選手を語るうえで、避けて通れない一戦があります。MVPを獲った2025年の、いちばん重い夜です。
相手は中野たむさん。スターダムの看板を張ってきた選手でした。
始まりは2025年3月3日の「敗者退団マッチ」。この試合に敗れた中野さんは、スターダムを退団します。ところが話はそこで終わりませんでした。試合後、上谷選手が中野さんに「ラストチャンス」を与え、それに対して中野さん側から「敗者引退マッチ」が提案され、上谷選手が受諾したのです。
負けたほうが、レスラーをやめる。
2025年4月27日、横浜アリーナ「ALL STAR GRAND QUEENDOM 2025」のメインイベント。ワールド・オブ・スターダム王座戦は、そのルールで行われました。26分9秒の激闘の末に勝ったのは上谷選手で、中野たむさんはこの試合をもって現役を退いています。
決着のつけ方が壮絶でした。上谷選手が最後に使ったのは、中野さんの代名詞であるトワイライトドリームだったと報じられています。相手のいちばん大事な技で、相手のキャリアを終わらせた。
試合後、上谷選手は「私はお前のことが大好きだ」と言い、中野さんは「たむの呪いを一生背負って生きるんだよ」と返したと伝えられています。
🐄(ウッシ小声:勝ったほうが背負うものが増える試合って、プロレスにしかない残酷さだと思います)
この年の上谷選手は、赤ベルトを守り続け、盟友のキャリアを自分の手で終わらせ、そのうえで新日本のリングでSTRONG女子王座も獲りました。プロレス大賞のMVPが女子選手に初めて渡ったのは、こういう1年の結果です。数字だけの話ではありませんでした。
📺 動画で観る(スターダム公式)
📺 技名鑑 上谷沙弥『スター・クラッシャー』(スターダム公式)
担ぎ上げてから落とすまでが一息です。相手が受け身を取り直す時間がない。
📺 技名鑑 上谷沙弥『フライング・ニールキック』(スターダム公式)
跳んで、回って、踵を点で当てる。ダンスで作った体の使い方が一番よく出る技です(技の解説はフライング・ニールキックのやり方へ)。
🏆 2026年——MVP、自伝、そして海外メディアで1位
2026年前後の上谷選手は、リング外でも記録を作っています。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年12月16日 | 東京スポーツ新聞社制定「2025プロレス大賞」でMVPを受賞。女子選手として史上初(「女子プロレス大賞」と同時受賞) |
| 2026年2月20日 | 初の自伝『アイドルで落ちこぼれだった私がプロレス界のセンターに立った話』をKADOKAWAより出版(224ページ・2,530円税込) |
| 2026年6月3日 | 米プロレスメディア Voices of Wrestling の「The 2026 Voices of Wrestling 30 Under 30」で1位に選出 |
プロレス大賞のMVPは、男子も女子も、団体も関係なく「その年いちばんの選手」に贈られる賞です。その頂点に女子選手の名前が入ったのは、2025年が初めて。ブル中野さんが日本人初のWWF世界女子王座を東京ドームで巻いてから31年後に、また一つ壁が抜けたことになります。
しかも、僅差の滑り込みではありませんでした。東京スポーツの報道によれば、選考委員会は2025年12月16日に東京スポーツ新聞社で開かれ、MVP候補5人のうち最初の投票で上谷選手が過半数となる11票を獲得して受賞が決まっています。決選投票にすら持ち込ませていない。「女子だから」という但し書きが一切つかない獲り方でした。同じ年、女子プロレス大賞も同時受賞しています(授賞式は2026年1月7日)。
そして海外メディアの「30歳未満のベスト30」で1位。国内の賞と国外の評価が、同じ年に同じ方向を向いたわけです。
🐄 ウッシ視点|武器を1本失った日から、キャリアは二周目に入る
ここからは営業歴20年目の中年サラリーマンとしての私見です。
① 代名詞は、いつか使えなくなる
上谷選手は肩の負傷でフェニックス・スプラッシュを封印しました。あれは自分の看板であり、称号の由来であり、たぶん一番会場が沸く技です。それを28歳になる年に手放している。
ウッシにも似た経験があります。畜産資材の代理店にいた頃、ウッシの武器は「現場に行く回数」でした。とにかく通う。顔を出す。それで数字を作っていた。でも運送会社の営業に移ったら、その武器はほとんど効かなかった。相手の業種も商流も違うので、通う回数では動かない。
そこで気づいたのは、武器を失った時に終わるのは「その武器」だけで、鍛えた体は残っているということです。上谷選手が飛べなくなっても、EXPGで作った体幹と可動域は消えていない。だからフランケンシュタイナーが残り、スター・クラッシャーが育った。ウッシの場合、残っていたのは「現場の話を聞く力」でした。訪問回数は減っても、聞き方は使い回せた。
② 実績は、看板を替えたあとに更新される
ここが一番励まされる部分です。上谷選手が赤ベルト、STRONG女子王座、MVPを獲ったのは、全部、代名詞を封印した後です。
ウッシが21歳で営業に上がった直後、メーカー研修で「お前ら代理店は営業失格だ」とボロクソに否定されたことがあります。報告会で言えたのは「毎日がんばりました」の一言だけ。あの時は自分の武器が何一つ通用していませんでした。でも今から見ると、あそこが一周目の終わりで、二周目の始まりだった。
③ 始まりの相手とは、いつかまた当たる
デビュー戦の相手と7年後にドロー、というのは、続けた人にしか起きない現象です。辞めた人には二度目がない。
ウッシは今も同じ業界の周辺にいるので、20代の頃にお世話になった人と、立場を変えて再会することがあります。だいたい、こっちの成長も劣化も全部見抜かれています(笑)。それでも席に着いてもらえるのは、間にある年月のおかげです。
なお、ウッシはスターダムを会場で観たことがまだありません。ここに書いた試合はすべて配信と報道で追ったものです。初観戦はドラゴンゲートで、しかも今の妻と行きました。女子プロレスも、そのうち必ず現地で観に行きます。
📺 上谷沙弥選手の試合を観る方法(2026年8月時点)
| 手段 | 内容 | ひとこと |
|---|---|---|
| STARDOM WORLD | スターダム公式の配信サービス。大会の生配信と過去試合のアーカイブ | 上谷選手を追うならこれが本線 |
| YouTube(スターダム公式) | 大会の第2試合まで無料配信される日がある/技名鑑・ハイライト | 0円で雰囲気を確かめるならここから |
| FIGHTING TV サムライ | プロレス・格闘技専門ch。スターダムの大会中継枠あり | テレビの大画面派向け。ただし加入経路に注意 |
一点だけ注意が必要なのがFIGHTING TV サムライです。名前は「スカパー!」でも、サムライはスカパー!基本プランには含まれていません(スカパー!プレミアムサービス側の別入口)。基本プランを契約しても映らない、という事故が毎年起きています。ここはスカパーのプロレスはテレ朝ch2かサムライ|料金と選び方で全部整理してあります。
配信サービス全体の比較はプロレス配信サービス比較【2026年版】へどうぞ。
❓ 上谷沙弥選手に関するよくある質問
Q. 上谷沙弥選手の身長・体重・出身は?
A. 168cm・58kg、神奈川県出身です。生年月日は1996年11月28日で、2026年8月時点で29歳。スターダムの公式プロフィールに掲載されている数値です。
Q. デビューはいつ? 相手は誰?
A. 2019年8月10日、後楽園ホール。渡辺桃選手とのシングルマッチでデビューしました。その約1か月前、2019年7月10日にプロテストに合格しています。そしてデビューした年の12月に「ルーキー・オブ・スターダム」を制して新人王になりました。
Q. フェニックス・スプラッシュはもう使わないの?
A. 2024年4月23日に、肩の故障を理由として封印を宣言しています。本人は東京スポーツのインタビューで「病院に行ったら肩が脱臼してると診断されて。靱帯が3本中2本切れていました」と語っています。2022年11月にも試合中の失敗を機に一時封印し、2023年4月23日に一度だけ解禁した経緯があります。現在の主なフィニッシュはスター・クラッシャーです。
Q. 上谷沙弥選手の必殺技は?
A. スター・クラッシャー(フィッシャーマン・バスターの形から変形みちのくドライバーIIへつなぐ技)とフランケンシュタイナーが二枚看板です。ほかにスワンダイブ式プランチャー、フライング・ニールキック、旋風脚、ミサイルキックなどを使います。
Q. なぜヒールになったの?
A. 2024年6月22日のユニット追放イリミネーションマッチで、上谷選手以外のQueen’s Questメンバー4人が追放され、ユニットが事実上解散したことが大きな転機です。1人でQQを背負ったのち、2024年7月28日の札幌大会でヒールターンし、ヒールユニットのH.A.T.E.に加入しました。それ以前は林下詩美選手とのタッグ「AphroditE」でベビーフェイスの主力を務めていました(林下選手は2024年3月末でスターダムを退団しています)。
Q. プロレス大賞MVPは何がすごいの?
A. 東京スポーツ新聞社が制定するプロレス大賞のMVPは、団体・性別を問わず「その年の最も優れた選手」に贈られる賞です。2025プロレス大賞で上谷選手が受賞したのは、女子選手として史上初でした。
Q. 元アイドルって本当?
A. 本当です。2014年8月から2015年2月まで「バイトAKB48」として活動していました。ただしそれ以前に、小3から高校卒業までEXPGでダンスを続け、2009年のWORLD HIPHOP DANCE CHAMPIONSHIPジュニア部門で世界2位、高校時代にはEXILEのバックダンサーとして東京ドーム公演に出演しています。アイドルより先に、ダンサーとしてのキャリアがありました。
📝 まとめ:上谷沙弥選手は「代名詞を手放してから、頂点を獲った人」
- 1996年11月28日生・神奈川県出身・168cm/58kg。称号はPhenex Queen
- ダンスで世界2位、EXILEのバックダンサーで東京ドーム、バイトAKB48を経てプロレスへ
- 2019年8月10日、後楽園ホールで渡辺桃選手を相手にデビュー。その年に新人王
- ワンダー・オブ・スターダム王座で15度防衛=最多連続防衛記録を樹立
- 2024年6月にQueen’s Questが事実上解散(追放されたのは上谷選手以外の4人)、7月28日にヒールターンしH.A.T.E.へ
- 2024年4月23日、代名詞フェニックス・スプラッシュを封印。スター・クラッシャーで作り直した
- 封印後に、赤ベルト(第20代)・STRONG女子王座(第6代)・女子初のプロレス大賞MVP
- 2026年8月現在、5★STAR GP 2026を戦闘中。8月3日にはデビュー戦の相手・渡辺桃選手と7年越しのドロー
看板技を失うことは、キャリアの終わりではなく、二周目の合図でした。飛べなくなった不死鳥が、地上で仕留める方法を覚えて、そのまま業界の頂点に立った。上谷沙弥選手の物語は、いま何かを失いかけている全員に効きます。
闘魂で、人生を叩き上げろ。マイペースにいきましょう🐄
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📚 参考・出典(13件)
本記事は以下の公式サイト・報道を参考に作成しています(2026年8月15日確認)。数値・年月日は資料により表記が分かれる場合があり、確認しきれない点は記載を避けています。
- スターダム公式「上谷沙弥 選手紹介」 — 生年月日・身長/体重・出身・デビュー戦(2019年8月10日 後楽園ホール/対 渡辺桃選手)・得意技(スター・クラッシャー/フランケンシュタイナー/スワンダイブ式プランチャーの3つ)・所属ユニット(H.A.T.E./2024年7月加入)・称号「Phenex Queen」・来歴(V15=歴代最多、女子初のMVPと女子プロレス大賞の同時受賞)
- スターダム公式「Sammy presents STARDOM 5★STAR GP 2026」特設ページ — ブロック編成と決勝トーナメント日程(8月18日 後楽園ホール=1回戦・準々決勝/8月23日 両国国技館=準決勝・優勝決定戦)
- スターダム公式 スケジュール — 8月の大会日程
- ブシロード公式リリース「2025年度 東京スポーツ新聞社制定 プロレス大賞”MVP”を上谷沙弥選手が初の受賞!」 — MVP受賞の一次発表。選考委員会は2025年12月16日開催、MVPの投票で11票を得て過半数に達し初回投票で決定。女子プロレス大賞との同時受賞
- KADOKAWA「女子レスラー史上初のMVP獲得! 上谷沙弥選手初の自伝本『アイドルで落ちこぼれだった私がプロレス界のセンターに立った話』2026年2月20日(金)発売」 — 2025プロレス大賞MVP(女子選手初)・書名・発売日・価格・ISBN・収録内容
- KADOKAWA「アイドルで落ちこぼれだった私がプロレス界のセンターに立った話」商品ページ — 判型・ページ数・定価
- 東スポWEB「【プロレス大賞】スターダム上谷沙弥が歴史変えた! 女子初のMVP「そりゃあ、当たり前だよな!」」(2025年12月17日) — 選考委員会の開催日(12月16日)・MVP候補5選手・最初の投票で過半数となる11票を獲得・女子プロレス大賞との同時受賞・授賞式2026年1月7日
- 東スポWEB「【スターダム】上谷沙弥 突如フェニックススプラッシュの封印を宣言「靱帯が2本切れていました」」(2024年4月23日) — 封印宣言の日付・2022年11月のV10戦での白川未奈選手負傷・2023年4月の再解禁と敗戦・肩の脱臼/靱帯断裂の本人談
- 東スポWEB「【スターダム】上谷沙弥以外〝全員追放〟 渡辺桃まさかの加勢も…事実上QQ解散」(2024年6月22日) — 2024年6月22日のイリミネーションマッチで追放されたのは上谷選手以外の4人であること
- Voices of Wrestling「The 2026 VOW 30 Under 30: #15-#1」(2026年6月2日) — 30歳未満ベスト30で1位
- スターダム公式 試合結果(2026年8月1日 仙台PIT/2026年8月3日 後楽園ホール) — 5★STAR GP 2026 BLUE STARS-B公式戦の結果(8月1日コグマ選手戦は7分24秒スタークラッシャーで勝利/8月3日渡辺桃選手戦は15分時間切れ引き分け)
- Wikipedia「上谷沙弥」 — EXPG・ダンス世界2位・EXILEバックダンサー・バイトAKB48・王座遍歴・ユニット遍歴・技の分類(補助的に参照)
- プロレスTODAY「【スターダム】上谷沙弥が中野たむとの「敗者引退マッチ」制す!涙の別れに「私はお前のことが大好きだ」中野「たむの呪いを一生背負って生きるんだよ」」 — 2025年4月27日・横浜アリーナのワールド王座戦(敗者引退特別ルール/26分9秒)・両者のコメント・3月3日の敗者退団マッチからの経緯
※動画はいずれもスターダム公式YouTubeチャンネル(STARDOM official)の公開動画を埋め込んでいます。選手の写真は使用していません。
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