牛殺しとは?技名の由来と天山広吉さん|後藤洋央紀の一撃
※本記事はプロモーションを含みます
プロレスの技には、たいてい誰かが名付け親がいます。考案者だったり、実況だったり、ファンだったり。
でも「牛殺し」は少し違います。
この技には、もともと名前がありませんでした。 メキシコに古くから存在していた、誰も名付けていない技。それに名前がついたのは、たった一つの試合がきっかけです。
その試合の相手が、天山広吉さんでした。
後藤洋央紀選手が使う変形ネックブリーカー。ファイヤーマンズキャリー(肩に担ぐ体勢)から、相手の頸椎が自分の片膝に当たるように投げ落とす技です。原型はメキシコに古くからあった名前のない技。2007年10月8日、この技で「猛牛」天山広吉さんを頸椎負傷・長期欠場に追い込んだことから、「牛殺し」と名付けられました。
⚠️ 【重要・免責】本記事はプロレス観戦を深く楽しむための「技術構造の解説」です。牛殺しは相手の頸椎に膝を当てる、極めて危険な技です。専門的な訓練を積んだプロレスラーだけが、受け身を取れる相手に対してのみ行えるものです。一般の方が真似をすると、頸椎損傷など生命に関わる重大な事故につながります。絶対に真似しないでください。
牛殺しのやり方|膝の一点に、全体重を集める
① ファイヤーマンズキャリーで担ぐ
まず相手を肩に担ぎ上げます。消防士が人を運ぶ姿に似ていることから、この体勢は「ファイヤーマンズキャリー」と呼ばれます。
ここまでは他の技にもある入り方です。この体勢からは様々な技に派生できるので、担がれた側は次に何が来るか分からない。
② 前方へ振り落とす
担いだ相手を、前方へ振り落とします。
③ 突き出した膝に、頸椎を当てる
ここが牛殺しの核心です。
落としながら、自分の片膝を突き出す。そこへ相手の頸椎が当たるように角度を作ります。
なぜこれが危険なのか。相手の全体重が、膝という一点に集中するからです。しかも当たるのが首。人体で最も脆く、しかも守りようのない部位です。
技として成立させるには、かける側にも受ける側にも高度な技術が要ります。だからこそ、専門の訓練を積んだプロレスラー以外は絶対に真似できません。
📺 動画で観る(公式)
新日本プロレス公式に、本家の牛殺しが収録された映像があります。「掟破り」——つまり他の選手が牛殺しを使い返す場面と、本家・後藤選手の牛殺しが並んで観られる一本です。
📺 掟破りの牛殺しと本家・牛殺し炸裂!(新日本プロレス公式)
膝が突き出される瞬間に注目してください。文章で読むより、一目で危険さが伝わると思います。
「牛殺し」という名前がついた日|2007年10月8日
ここからが、この記事で一番書きたかったことです。
前述のとおり、この技にはもともと名前がありませんでした。メキシコに古くから存在していた技を、後藤洋央紀選手が凱旋帰国とともに日本へ持ち帰った。当時はまだ、ただの「変形ネックブリーカー」でした。
2007年10月8日。 後藤選手はこの技を、天山広吉さんに決めます。
結果、天山さんは頸椎を負傷し、長期欠場に追い込まれました。
そして——「猛牛」と呼ばれた天山さんを欠場させた技、ということで、この技に「牛殺し」という名前がつきました。
技の名前が、一つの試合の記録になっている
プロレスの技名は、たいてい技の形や由来から付けられます。
- ジャーマン・スープレックス=ドイツ由来
- ムーンサルトプレス=月面のように舞う
- モンゴリアンチョップ=モンゴル人ギミックの選手が使った(詳しくはこちら)
でも牛殺しは違います。「特定の一人の選手を倒したから」という理由で名前がついている。
これは考えてみると、かなり珍しいことです。技の名前そのものが、あの日あの試合で何が起きたかを記録している。名前を呼ぶたびに、2007年10月8日が呼び出される。
プロレスを長く観てきた方なら、この構造の重さが分かると思います。
天山さんにとっては、大きな怪我を負った試合です。決して楽しい思い出ではないはずです。それでも、この技が「牛殺し」と呼ばれ続ける限り、天山広吉さんという選手がどれだけ大きな存在だったかも同時に語られ続ける。
無名の技に名前を与えるほどの相手だった、ということですから。
後藤洋央紀選手の他の必殺技との関係
牛殺しは、後藤選手の技の中ではフィニッシュ前の布石として使われることが多い技です。
| 技 | 位置づけ |
|---|---|
| 牛殺し | 頸椎に膝を当てる変形ネックブリーカー。流れを断ち切る一撃 |
| GTR | ファイナル・カットの体勢から膝へ叩きつけるフィニッシャー |
| 昇天・改 | ブレーンバスターの体勢から垂直に落とす |
後藤選手の技は「膝」を使うものが多いのが特徴です。牛殺しもGTRも、突き詰めれば「相手の頭部・頸部を自分の膝へ導く」という発想でできています。
出場選手の技をまとめた G1 CLIMAX 36 出場選手の得意技まとめ でも、後藤選手のGTRと昇天・改を解説しています。
そして2026年8月15日
牛殺しの名前の由来になった天山広吉さんが、2026年8月15日・両国国技館で引退しました。相手は盟友・小島聡選手でした。
2007年に頸椎を負傷してから、天山さんはその後も長く現役を続けました。2009年には脊柱管狭窄症と右肩亜脱臼で無期限欠場、2010年に復帰(詳しくはこちら)。そして2025年春から腰と膝の負傷で長期欠場を経て、今年の引退。
満身創痍という言葉が、これほど似合う選手もいません。
19年前、一つの技に名前を与えた男が、リングを降りる。その日の観方は 生中継で観る方法 にまとめました。
❓ 牛殺しに関するよくある質問
Q1. 牛殺しは誰の技ですか?
A. 後藤洋央紀選手の技です。ただし技そのものはメキシコに古くから存在していたもので、後藤選手が凱旋帰国後に使い始め、日本で「牛殺し」の名を得ました。
Q2. なぜ「牛殺し」という名前なんですか?
A. 2007年10月8日、この技で「猛牛」天山広吉さんを頸椎負傷・長期欠場に追い込んだからです。天山さんのニックネーム「猛牛」から取られています。
Q3. どんな技ですか?
A. 変形ネックブリーカーです。ファイヤーマンズキャリー(肩に担ぐ体勢)から相手を前方へ振り落とし、突き出した自分の片膝に相手の頸椎を当てます。
Q4. 牛殺しは危険な技ですか?
A. 極めて危険です。 相手の全体重が膝という一点に集中し、しかも当たるのが頸部です。実際にこの技で長期欠場に至った例があります。絶対に真似しないでください。
Q5. 海外でも使われている技ですか?
A. 原型はメキシコに古くからある技で、AJスタイルズ選手も得意技としていたと伝えられています。ただし「牛殺し」という名前は日本でついたものです。
Q6. 後藤選手のフィニッシャーは牛殺しですか?
A. 現在の主なフィニッシャーはGTRと昇天・改です。牛殺しは試合の流れを断ち切る一撃として使われることが多い技です。
📚 参考・出典(3件)
- Wikipedia:後藤洋央紀(牛殺しの形・命名の由来・2007年10月8日の試合・メキシコ由来/2026年8月8日確認)
- Wikipedia:天山広吉(頸椎負傷と欠場歴/同日確認)
- 新日本プロレス公式サイト
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