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ヘッドロックとは?なぜ効く?種類と返し方を図解
— 必殺技解説 —

ヘッドロックとは?なぜ効く?種類と返し方を図解

USSIBLOG

※本記事はプロモーションを含みます

「ヘッドロックって、要するに頭を抱えてるだけじゃないの?」 「あんな地味な技が、なんで試合の最初に必ず出てくるんだろう」

こんにちは、営業部長のウッシです。プロレスを30年観てきて、いちばん多く目にした技は間違いなくこれです。それなのに、いちばん説明されない技でもあります。

📌 ヘッドロックとは?(結論から先に)
相手の頭を自分の脇に抱え込み、腕と体で締め上げるプロレス技です。日本名は頭蓋骨固め、別名ヘッド・チャンスリー。極まるとこめかみ、あるいは頚部が圧迫されて激痛が走ります。組み合いの体勢(ロックアップ=カラー・アンド・エルボー)からそのまま出せて、派生技・連絡技・返し技がとにかく多い。だからプロレスでは「基本技の一つ」に数えられます。ただし戦前はエド・ルイスさんが決め技として使っていた技でもあり、地味なつなぎ技になったのは1970年代以降の話。2026年、新日本プロレスの大岩陵平選手が「ビッグロック」の名でG1史上初のヘッドロック決着を成立させ、この最古級の技がもう一度、決め技の側に戻ってきました。

⚠️ 【重要・免責】本記事はプロレス観戦をより深く楽しむための「技術構造の解説」です。首や頭部を締める技は、専門的な訓練を積んだプロレスラーだけが行える危険なものです。一般の方が実際に他人にかけると、頸部・気道・血管に重大な損傷を与え、命に関わります。過去には一般の方がグラウンド・ヘッドロックをかけて相手を死亡させた事件も起きています。絶対に真似しないでください

⏱ 30秒で片づく|ヘッドロックの疑問7つに即答

長く読む前に、検索してきた人が知りたいところだけ先に潰します。

疑問答え
どんな技?相手の頭を自分の脇に抱え込んで締め上げる技。日本名は頭蓋骨固め、別名ヘッド・チャンスリー
どこが効くの?極まるとこめかみ、または頚部が圧迫されて激痛。首だけでなく側頭部にも効く
どこから出す?ロックアップ(カラー・アンド・エルボー)から。だから試合開始直後に出る
種類は?スタンドのサイド・ヘッドロックグラウンド・ヘッドロックフロント・ヘッドロックブルドッギング・ヘッドロックの4系統
決め技になる?1970年代以降はつなぎ技扱い。ただし戦前はフィニッシュホールドで、近年も決着例がある
返し方は?バックドロップ・ラテラル・強引に首を抜いてバックを取る・ロープに振る・ワンハンド・バックブリーカー
今の使い手は?大岩陵平選手。「ビッグロック」の名で2026年のG1を制した
★★ 締め技(基本技)
ヘッドロック
頭蓋骨固め・すべての攻防が始まる場所
👁 かけ方
組み合った体勢から相手の首に腕を回し、頭を自分の脇へ抱え込んで、前腕と胸で締め上げる。単に「ヘッドロック」と言えば、この立った状態のサイド・ヘッドロックを指すことが多い。リバース・チャンスリー、サイド・チャンスリーとも呼ばれる。締めた相手は前傾を強いられ、視界と姿勢の自由を失う。
⚔️ STATUS※プロレス30年・ウッシの独断評価
💥 破壊力 3
🔒 拘束力 5
🎯 決定力 2
🎓 習得難度 2
⚠️ 危険度 5
🎭 魅せ度 3
🥋 元祖・名手
特定の考案者はいない、レスリング最古級の型。第二次世界大戦前はエド・ルイスさんが決め技として使い、絞めの強さから「ザ・ストラングラー(絞殺者)」と呼ばれた。怪力からホッジ・ヘッドロックという固有名で呼ばれたダニー・ホッジさん、素人の乱入者を屈伏させるのに使ったというボブ・バックランドさん、王座防衛戦で多用したジャイアント馬場さん、ビル・ロビンソンさんの指導でグラウンド・ヘッドロックを使った垣原賢人さん。そして現代の大岩陵平選手が「ビッグロック」の名で決め技に戻した。
📜 ひとくちメモ
習得難度2は「形だけなら誰でも作れる」という意味。だがこの技、捕らえても相手を制圧しきれていない。だから投げ技へつなぐか、返されるかの分岐が必ず生まれる。ヘッドロックは効かせる技というより、次の展開を発生させる装置だ。

📌 この記事でわかること

  • ヘッドロックの正体と、「頭を抱えているだけ」に見えて何が起きているのか
  • なぜ効くのか──首だけでなくこめかみに効く、という見落とされがちな話
  • サイド/グラウンド/フロント/ブルドッギングという4系統の種類と呼び分け
  • なぜ試合の一番最初に出るのか=ロックアップから直結するという構造上の理由
  • 戦前は決め技、70年代以降はつなぎ技。役割が変わった歴史
  • バックドロップをはじめとする返し方と、そこから生まれる攻防
  • 2026年、大岩陵平選手がこの技を決め技に戻した話(詳細は専用記事へ)

🧬 ヘッドロックとは|「頭蓋骨固め」という日本名がすべてを説明している

まず名前から入ります。ヘッドロックの日本名は「頭蓋骨固め」です。

首固めでも喉固めでもなく、頭蓋骨。ここがこの技の本質を言い当てています。

項目内容
日本名頭蓋骨固め
別名ヘッド・チャンスリー/リバース・チャンスリー/サイド・チャンスリー
英語名Headlock
分類締め技(プロレスにおける基本技の一つ)
入り方ロックアップ(カラー・アンド・エルボー)の体勢から
効く場所こめかみ、あるいは頚部

一般に「ヘッドロック」と言った場合、指しているのは立った状態で相手の頭を脇に抱え込むサイド・ヘッドロックです。相手の首に腕を回し、頭を自分の腰のあたりまで引き込んで、前腕と胸で挟む。プロレス中継を1試合観れば、確実に3回は目にする形です。

なぜ効くのか|首ではなく「側頭部」が潰される

ここが、テレビで観ているだけだと分かりにくいところです。

ヘッドロックが極まった場合、圧迫されるのはこめかみ、あるいは頚部です。締めている側の前腕と上腕が、相手の側頭部と首を挟み込む。スリーパーホールドのように「落とす」技ではなく、痛みで参らせるタイプだと考えると分かりやすいはずです。

💡 スリーパーとの違いスリーパーホールドは相手の背面から首に腕を回し、頚動脈を絞めて意識を刈り取る技。ヘッドロックは横(または前)から頭を抱え、こめかみと頚部を圧迫して痛みを与える技です。似て見えて、狙っている場所も勝ち方もまったく別物です。

ヘッドロック(サイド・ヘッドロック)の構造と返し方 模式図 立った状態で相手の頭を脇に抱え込み、前腕でこめかみと頚部を圧迫する基本形と、背後に回り込んで反り投げる返し技の方向を示した抽象図。 ヘッドロック|効く場所と、返される方向 かける側 かけられる側(前傾を強いられる) 前腕がこめかみ・頚部を圧迫 =日本名「頭蓋骨固め」の由来 背後へ回り込めば… → バックドロップ・   ラテラルへ切り返される 入口:ロックアップ (カラー・アンド・エルボー) 要点:捕らえても制圧しきれない。だから投げ技へ移行するか、返されるかの分岐が生まれる ※模式図(実姿勢を簡略化) 絶対に真似しないでください

入口が「ロックアップ」だから、試合の最初に出る

ヘッドロックが試合開始直後に頻出する理由は、ロマンでも様式美でもなく、単純な構造の話です。

プロレスの試合は多くの場合、ロックアップ(カラー・アンド・エルボー)──相手の首の後ろと肘を掴んで組み合う体勢──から始まります。この体勢からそのまま腕を滑らせるだけで入れるのがヘッドロックなんです。追加の動作がいらない。

だから最初に出る。そして、ここから派生技・連絡技・返し技が数え切れないほど枝分かれしていく。この分岐の多さこそが、ヘッドロックが「基本技の一つ」とされる理由です。

🐄(ウッシ小声:営業でいう「まずお名刺を」と同じです。誰でもできて、そこから全部が始まる。名刺交換が上手い人って、実は例外なく強い)

🗂 ヘッドロックの種類|4系統で覚えると一気に整理できる

「ヘッドロック」と呼ばれる技はひとつではありません。スタンドのサイド・ヘッドロック以外に、大きく3つの系統があります。

種類体勢特徴
サイド・ヘッドロック立った状態最も基本的な形。単に「ヘッドロック」と言えばこれ。リバース・チャンスリー/サイド・チャンスリーとも
グラウンド・ヘッドロック寝た状態横に倒れた体勢でサイド・ヘッドロックを仕掛ける。柔道・レスリング・総合格闘技でも使われる
フロント・ヘッドロック立位/座位「がぶり」の状態から仕掛ける。ネックブリーカーへ移行するパターンもある
ブルドッギング・ヘッドロック走って跳ぶ締めたまま走り、ジャンプして倒れ込み、相手を頸部や顔面からマットに叩きつける

① サイド・ヘッドロック|プロレスの中でしか成立しない形

立った状態で頭を脇に抱える、いちばん見慣れたあの形です。

面白いのは、この立ったままのサイド・ヘッドロックは、プロレス以外の格闘競技ではほとんど使われないという点。理由は明快で、捨て身で倒れ込まれると逆転されやすいからです。首を差し出す側が体重を預けて崩せば、極めている側のほうが不利な体勢に落ちる。

つまりサイド・ヘッドロックは、相手が真っ向から受けて立ってくれる世界=プロレスだからこそ映える形なんです。ここを知ってから観ると、序盤のヘッドロック合戦の意味が変わります。あれは「様子見」ではなく、お互いに危険な形を差し出し合っている時間なんですから。

② グラウンド・ヘッドロック|格闘技と地続きの、いちばん怖い形

寝た状態で仕掛けるヘッドロックです。柔道の袈裟固に近い形で、レスリングや総合格闘技でも実際に使われます。

そしてこの記事の中で、いちばん強く警告しておきたいのがこの形です。2019年には、ケンカでグラウンド・ヘッドロックをかけた一般の男性が相手を死亡させる事件が起きています。技術も加減も知らない人間がやれば、人が死にます。ここは笑いどころのない話として書いておきます。

なお、下からのグラウンド・ヘッドロックは腕挫十字固で逆転されやすいためタブーとされるという定石もあります。攻めているつもりが極められる側に回る。地味な技ほど、リスクの計算が細かい。

③ フロント・ヘッドロック|「がぶり」から入る、前からの形

相手が前傾している状態(がぶり)から頭を抱え込む形です。立ったままかけることも、座り込んでかけることもあります。ここからネックブリーカーへ移行するパターンもあります。

似た形の技と混同されやすいので、線引きだけ書いておきます。

  • フロント・チョーク(ギロチン・チョーク/フロント・スリーパー)=喉あるいは頚動脈を絞める
  • フロント・ネックチャンスリー(フロント・ネックロック)=首関節を攻撃する技
  • フロント・ヘッドロック=頭を抱え込んで圧迫する

見た目はどれも「前から頭を抱えている」。狙いが喉なのか、関節なのか、頭部なのかで名前が変わります。

④ ブルドッギング・ヘッドロック|締めるのをやめて、叩きつける

ヘッドロックで捕らえたまま対角線上にリングを走り、そのままジャンプして倒れ込む。相手を頸部や顔面からマットへ叩きつける技です。単にブルドッグとも呼ばれます。

この「ブルドッグ」、犬種のことだと思っている人が多いのですが違います。語源は動詞の Bulldog牛や鹿の角を掴んでねじり倒すという意味。カウボーイが牛を捕らえる動作をプロレスに応用した技で、考案者はカウボーイ・ボブ・エリスさん。以降もカウボーイのギミックを持つレスラーたちが得意技にしました。日本ではラッシャー木村さん、谷津嘉章さん、越中詩郎さん、中西学さんらが使っています。

🐄(ウッシ小声:牛をねじり倒す動詞が語源。牛マスクを被っている私としては、複雑な気持ちで観る技です)

相手をヘッドロックせず、髪や後頭部を掴んで顔面から叩きつけるとワンハンド・ブルドッグ、日本ではフェイス・クラッシャー(顔面砕き)と呼ばれます。武藤敬司さんも使い手の一人でした。

似ているけど違う技

最後に、混同されやすい”首まわりの技”を並べておきます。

技名どこから何をする
スリーパーホールド背面首を絞めて意識を刈り取る
フェイスロック背面顔面の輪郭を覆うようにロックする
チンロック背面顎(チン)と上頭部をフックして首を捻る
ヘッドロック横/前頭を脇に抱え込み、こめかみ・頚部を圧迫する
コブラツイスト側面立ったまま腕と脚で相手の胴体を極める

首まわりの技をまとめて把握したい人はプロレス関節技 一覧【図解つき】へどうぞ。全ジャンルの見取り図ならプロレス技 一覧【完全図解】です。

📺 動画で観る(新日本プロレス公式)

ヘッドロックの”しつこさ”だけは、文章では絶対に伝わりません。基本技だけで頂点まで来た人が何を考えているのかは、新日本プロレス公式のドキュメンタリーが近道です。

📺 NEW HEROES #7 大岩陵平【ドキュメンタリーシリーズ】(新日本プロレス公式)

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⏳ 決め技だった技が、つなぎ技になった|役割が変わった100年

「ヘッドロック=地味なつなぎ技」というイメージは、実はプロレス史のわりと後半にできたものです。

第二次世界大戦前、ヘッドロックはれっきとしたフィニッシュホールドでした。使い手の代表がエド・ルイスさん。絞めの強さから「ザ・ストラングラー(絞殺者)」の異名を取った人です。頭を抱えて締めるだけで試合が終わった時代が、確かにあったわけです。

そして、この技の面白さを決定づけるエピソードがもう一つあります。ルイスさんの弟子であるルー・テーズさんの代名詞、バックドロップです。

テーズさんのバックドロップは、相手にヘッドロックをかけさせた状態から背後へ回り込み、反り投げるものでした。つまり相手にわざとヘッドロックを取らせる。ヘッドロックを仕掛ければ相手も同じ技で応戦したがるので、テーズさん自身も「バックドロップの布石として、どうヘッドロックを仕掛けるか」を研究していたと伝えられています。

💡 ここが分かると観戦が変わる
ヘッドロックは「かける技」であると同時に「かけさせる技」です。序盤にわざとヘッドロックを許す選手がいたら、それは押されているのではなく投げの間合いに誘っている可能性がある。この視点を持つと、あの退屈に見える3分間が全部読み物になります。

1970年代以降、ヘッドロックは試合序盤の基本技・つなぎ技として使われることが多くなり、決め技として使われることは減っていきました。技のインフレが進み、より高く、より速く、より危険な技が生まれていく流れの中で、頭を抱えるだけの技は「試合の入口」に配置されるようになったわけです。

それでも、決着例がゼロになったわけではありません。全日本プロレスでは、1994年に小橋建太さんが渕正信選手からヘッドロック・ホールドでそのままピンフォールを奪った試合があり、2000年には秋山準選手が志賀賢太郎選手からヘッドロックでギブアップを取ったことがあります。

つまり「ヘッドロックでは勝てない」は思い込みで、正確には「ヘッドロックで勝つ人がほとんどいない」だけだった。ここが2026年にひっくり返ります。

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図解で構造が分かったら、次は名手の実演で。基本技をどう決め技へ持っていくかという発想は、本と映像で追うのがいちばん早いです。

🐂 現代の使い手|大岩陵平選手の「ビッグロック」

2026年、この最古級の基本技がプロレス界の主役になりました。

新日本プロレスの大岩陵平選手が、ヘッドロックを「ビッグロック」の名で決め技として使い、7月29日・大阪でSANADA選手からギブアップを奪取。010スポーツ(まるスポ)はこれを「過酷な『G1 CLIMAX』の歴史において、ヘッドロックによるギブアップ決着は史上初の快挙」と報じました。

そして8月16日・両国国技館のG1 CLIMAX 36決勝。大岩選手は上村優也選手を35分10秒・ビッグロックで下し、初優勝を果たしています(新日本プロレス公式の大会結果)。

ヘッドロックで、リーグ戦の決勝が終わった。1970年代以降ずっと「つなぎ技」の棚に置かれていた技が、50年ぶりに棚から引きずり出された瞬間でした。

技術の源流は、大岩選手がプロレスリング・ノアへの国内武者修行で師事した小川良成さんです。

📌 ここから先は専用記事へ:ビッグロックが普通のヘッドロックと何が違うのか(ロープに振られても解かない/何度も入り直す/締め直しに頭突きを混ぜる)、小川良成さんから受け継いだ系譜、G1決勝で上村優也選手が見せた攻略法までは、ビッグロックとは?大岩陵平のヘッドロック技を図解に全部まとめてあります。この記事は「ヘッドロックという技そのもの」担当、あちらは「大岩選手のビッグロック」担当です。

選手としての大岩陵平選手を知りたい人は【闘魂列伝㉟】大岩陵平|恩師の翌日にG1初優勝へ。G1出場選手のフィニッシャーを横並びで見たいならG1 CLIMAX 36 出場20選手の得意技まとめが早いです。

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🛡 ヘッドロックの返し方|「制圧しきれない」からこそ攻防になる

ここが、ヘッドロックという技のいちばん深いところです。

スタンディングでヘッドロックに捕らえても、相手を完全に制圧した体勢ではありません。締めている側は片腕を使い切っていて、相手の両腕は空いている。この非対称が、無数の返し技を生みました。

主な返し技

返し方何をする結果
バックドロップ背後へ回り込み、反り投げるルー・テーズさんの代名詞。ヘッドロック返しの王道
ラテラルバックドロップを狙う体勢から座り込みつつ相手の足を払い倒す柔道の抱分に近い形
首を抜いてバックを取る強引に頭を引き抜き、相手の背後へ主導権がそのまま入れ替わる
首を抜いてロープに振る引き抜きながら相手をロープへ飛ばす序盤の攻防でいちばん見る形
ワンハンド・バックブリーカー抱えたまま膝や肩に落とす締めている腕ごと背中を折る

締めた側が「次」を用意している理由

返されるリスクが高いからこそ、締めた側も捕らえた時点で次の一手を決めています

代表がフライング・メイヤー(首投げ)です。ヘッドロックの体勢から、そのまま投げに移行する。制圧しきれないなら、崩れる前に投げてしまえ、という発想ですね。

変わり種としては、初代タイガーマスク(佐山聡さん)のタイガースピンがあります。ヘッドロックに捕らえた体勢からフックを解き、自分の体を錐揉み状に回転させて後方へ移動し、最後はカニ挟みで相手を倒すという技です。捕まえておいて、自分から離れて倒す。発想が完全に別次元でした(歴代タイガーマスクの違いは歴代タイガーマスク完全ガイドにまとめています)。

受け身について

正直に書きます。ヘッドロックそのものに「受け身」はありません。投げ技ではないので、受け身で衝撃を逃がすという性質の技ではないからです。

危険なのは返された側です。バックドロップやラテラルで投げられる側は、後頭部と首から落ちるリスクを負う。首を守る受け身は、プロレスラーが何年もかけて習得する技術です。ヘッドロックからの一連の攻防が成立しているのは、両者が受け身を修めているからとしか言いようがありません。

⚠️ 再掲・免責:ここに書いたのは「試合で何が起きているか」を理解するための観察であって、掛け方や返し方の手順ではありません。頭部や首を締める行為は、一般の方が行えば命に関わります。絶対に真似しないでください。

🥋 この技が好きなら、次はコレ
ビッグロック──ヘッドロックを決め技に戻した男の話。この記事の続編
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コブラツイスト──立ったまま極める古典技の代表
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❓ ヘッドロックに関するよくある質問

Q1. ヘッドロックは素人でも真似できますか?

A. 絶対に真似しないでください。本記事は観戦理解のための解説です。頭部・頸部を締める行為は、訓練を受けていない人が行うと気道や血管を圧迫し、命に関わります。実際に2019年、ケンカでグラウンド・ヘッドロックをかけた一般の男性が相手を死亡させる事件が起きています。

Q2. ヘッドロックは本当に痛いんですか?

A. 極まった場合はこめかみ、あるいは頚部が圧迫されて激痛を伴うとされます。首だけでなく側頭部が潰されるのがこの技の特徴で、日本名が「頭蓋骨固め」なのもそのためです。

Q3. ヘッドロックとスリーパーホールドの違いは?

A. 入る方向と狙いが違いますスリーパーホールドは相手の背面から首を絞め、意識を刈り取る技。ヘッドロックは横または前から頭を脇に抱え込み、こめかみと頚部を圧迫して痛みを与える技です。ほかに背面からの技としてはフェイスロック(顔面の輪郭を覆う)、チンロック(顎と上頭部をフックして捻る)があります。

Q4. ヘッドロックにはどんな種類がありますか?

A. スタンドのサイド・ヘッドロックを基本形として、寝た体勢のグラウンド・ヘッドロック、がぶりから入るフロント・ヘッドロック、締めたまま走って叩きつけるブルドッギング・ヘッドロックがあります。髪や後頭部を掴んで叩きつける形はワンハンド・ブルドッグ(フェイス・クラッシャー)と呼ばれます。

Q5. なぜ試合の最初に必ずヘッドロックが出るんですか?

A. ロックアップ(カラー・アンド・エルボー)の体勢からそのまま入れるからです。組み合った位置から腕を回すだけで成立するので、余計な動作がいりません。さらに派生技・連絡技・返し技が非常に多く、ここから試合の展開を分岐させられる。だから「試合の入口」として定着しました。

Q6. ヘッドロックはフィニッシュホールドになりますか?

A. なります。第二次世界大戦前はエド・ルイスさんが決め技として使い、「ザ・ストラングラー(絞殺者)」と呼ばれていました。1970年代以降はつなぎ技として使われることが多くなりましたが、全日本プロレスで1994年に小橋建太さんが渕正信選手からヘッドロック・ホールドでピンフォールを奪った例、2000年に秋山準選手が志賀賢太郎選手からギブアップを取った例があります。そして2026年、大岩陵平選手がビッグロックでG1 CLIMAXを制しました。

Q7. ヘッドロックの返し方は?

A. 代表的なのはバックドロップです。背後へ回り込んで反り投げる形で、ルー・テーズさんはこれを狙って相手にわざとヘッドロックをかけさせていたと伝えられます。ほかにラテラル(座り込みながら足を払い倒す)、強引に首を抜いてバックを取る/ロープに振るワンハンド・バックブリーカーなどがあります。

Q8. 総合格闘技でヘッドロックを見ないのはなぜですか?

A. 立った状態のサイド・ヘッドロックは、捨て身で倒れ込まれると逆転されやすいため、プロレス以外ではほとんど使われません。一方、寝た体勢のグラウンド・ヘッドロックは柔道・レスリング・総合格闘技でも使われます。ただし下からのグラウンド・ヘッドロックは腕挫十字固で逆転されやすく、タブーとされています。

Q9. ブルドッグは犬のことですか?

A. 違います。動詞のBulldog=牛や鹿の角を掴んでねじり倒すが語源です。カウボーイが牛を捕らえる動作をプロレスに応用した技で、考案者はカウボーイ・ボブ・エリスさん。日本では「ブルドッキング」と誤って表記されることもあります。

🐄 ウッシ視点:全員が持っている技を、誰も磨かなかった

ここからは営業部長の私見です。

白状すると、私はヘッドロックという技をずっとナメていました。

小学生の頃、プレステの闘魂列伝でプロレスを覚えて、深夜のワールドプロレスリングを眠い目をこすって観ていた私が憧れたのは、ムーンサルトプレスであり、ジャーマンでした。ヘッドロックは「早く終われ」と思いながら観る時間だった。学校でも家でも技をかけまくって(妹には本当に申し訳ないことをしました)、それでもヘッドロックだけは”つまらない技”の棚に置いていたんです。

その認識が、30年後にひっくり返りました。

ヘッドロックは、捕らえても相手を制圧しきれない技です。だから投げられるかもしれないし、返されるかもしれない。この記事を書くために調べ直して、いちばん驚いたのはそこでした。効かない技だから残ったんじゃない。制圧しきれないから、そこから毎回ドラマが起きるので残った。

しかもテーズさんは、その構造を逆手に取って相手にヘッドロックをかけさせていた。攻めさせて、その隙に投げる。100年近く前の人が、すでに技を「かける/かけられる」の二択で考えていなかったわけです。

営業20年目やってきて、これと同じ構造を何度も見ました。いちばん基本的な動作ほど、実は主導権が確定していない。訪問して名刺を出した瞬間は、まだ誰も勝っていません。そこからどう分岐させるかが全部で、分岐が多い手こそが強い手なんです。

そして2026年、大岩陵平選手が「全員が持っている技」でG1の決勝を終わらせた。誰でも持っていて、誰も磨かなかった道具に、一人だけ本気を出した人がいた。私はこの夏、それを見せられました。

派手な必殺技を持っていないことを、私はもう弱点だと思っていません。それではまた次のプロレス記事でお会いしましょう。マイペースにいきましょう🐄

営業部長のウッシでした。

📚 参考・出典(5件)

※本記事の技術構造の記述は、上記の公開情報および筆者の観戦経験にもとづく観戦理解のための解説です。掛け方の細部は選手・流派により異なります。

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⚠️ 再々掲・免責:本記事は観戦理解・技術構造の解説を目的としたものです。頭部や首を締める技を一般の方が他人にかけることは極めて危険であり、絶対に真似しないでください。


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